多読術/松岡正剛
『多読術 (ちくまプリマー新書)』を読んだよ。たくさん読めばいいっていう話ではなく。
「千夜千冊」というウェブサイトで読書の感想(松岡氏曰く、「書評ではない。」)を公開している松岡正剛氏。その松岡氏が編集者の質問に答えるという形で、読書に対するアレコレを述べた本。
まずは、人はどうして読書をするのだろうか?娯楽のため?単なる暇つぶし?いろいろあるだろうけれども、アッシ的には「知りたい」から。その辺の見解は、
読書って、そうやって疑問に発して読むときもあるわけです。疑問があったから本も読めたということです。と筆者も同じ。
そして、改めて読書とは何かを問う。筆者曰く、
つまり読書というのは、書いてあることと自分が感じることとが「まざる」ということなんです。これは分離できません。と。つまりは、理解ではなく、一種のコラボレーションであるという。それは、読む側のシチュエーション、体験、感情や意識の違いがあるし、そもそも読み方が違うだろうから。
そこで、登場するのが「編集工学」という技術。書物に書かれている意味を読者なりに編集する技術のこと。難しそうに聞こえるけど、実は読者はすべて頭の中では、この「編集工学」を駆使して、本の内容をエディティングしているんじゃないかなぁ〜。
さっき、書物とのコラボって書いたけど、コミュニケーションでもあるわけで、コミュニケーションって、「意味の交換」であると筆者は言っているわけだし。
最後に筆者の哲学をひとつ紹介。
そもそも思想や表現の本質は「アナロジー」であり、「連想」であると思っているということです。科学も小説も、人文も芸術も、思想や表現の本質の大半はアナロジーであり、類推であり、連想であると確信しているんです。つまり、どんなことも堅く考えていないんですね。うん、この最後のひとことに安心する。どんなに難しく書かれていようと、所詮は本質のアナロジー。別の表現に代替して理解してもいいわけで、それがまさに「意味の交換」なんだよね。
読書の楽しみがまた広がったなぁ〜。
多読術 (ちくまプリマー新書) | |
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