宇宙がよろこぶ生命論/長沼毅

宇宙がよろこぶ生命論 (ちくまプリマー新書)』を読んだよ。本当に宇宙はよろこんでいるのだろうか。

著者は生物学者の長沼毅氏。だいぶ以前にNHKの番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」に極限環境で生きる生物を探す学者として登場したことがあったよ。確か、科学界のインディ・ジョーンズの異名を取るとまで紹介されて。
そんな番組をみていたせいもあり、本書の内容は、著者の極限地旅行記のようなものを期待していたのだけれども、意外にも真面目な科学本。難易度も低くはないよ。中学生には難しいかも。

さて、内容的には宇宙の誕生から始まる。ビッグバンが宇宙の始まりだと思っている人は多いけど、本当の宇宙の始まりは、

「存在」と「非存在」の間を揺れ動いているよくわからないものが、137億年前に突如として「存在」する側にぽろっと転げ出て来たということらしい。
ということ。ビッグバンはその直後。我々の存在するこの宇宙が「ぽろっと」でいいのかなんて思うけど、それは人間のご都合主義かもしれないね。

そして、このご都合主義を「人間原理」というこというと筆者。それでも、宇宙の内部に宇宙のことを考える人間がいるということで、宇宙は喜ぶのだと筆者。他宇宙の概念を考えれば、他の宇宙との比較として、宇宙のことを何も考えてくれない存在がいるよりも、いてくれた方が嬉しいよね。

中盤からは、化学式などが登場してきて、知識がないと読みにくくなる。分子の構造から水の異常性を説明したり。そうそう、この水の異常性も生命にとって、非常に重要なんだよね。

終盤は地球外生命の存在について。
ヒントとしては、宇宙の年齢の137億年。この137億年という若さでは、炭素や窒素や酸素など、生物体や生命活動に必要な重たい元素が十分に蓄積していないという見解。だから、

これから宇宙が歳を重ねるにつれ、そういう元素がどんどん蓄積し、宇宙のあちこちに生物体や生命現象が見られるようになるだろう。
と。
そうか、宇宙は若すぎるんだ。でも、逆に成熟した宇宙って…。想像できない。でも、その頃は今よりさらに宇宙はよろこんでいるんだろうなぁ〜。
宇宙がよろこぶ生命論 (ちくまプリマー新書)
宇宙がよろこぶ生命論 (ちくまプリマー新書)長沼 毅

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