疲れすぎて眠れぬ夜のために/内田樹

疲れすぎて眠れぬ夜のために (角川文庫)』を読んだよ。「らしさ」とはリスク分散のために…。

そう言えば、内田先生、神戸女学院大学勇退するみたい。神戸女学院にとっては、大きな広告塔の喪失なんだろうけど、内田先生としてはどうなんだろ。入試部長という重責から解放され、ますます自由に発言できるようになるのかなぁ〜。

…ということで、内田樹先生。本屋に行くと必ず新刊本を目にするほど、最近のメディアへの登場は多いよね。『日本辺境論』から急上昇だよね。
アッシ的には、先生の著書はボソボソと読んでいたので、そのボソボソペースは変えないつもり。だから、新刊には飛びつかず、少し古い著作を読んでみる。

で、本書。
基本的には若い人たちに読んでもらいたいかも。特に若い女性。
「らしさ」って何かという命題が底流にあるから。現代社会は「らしさ」が失われつつあるよね。それってどうなんだろ。「らしさ」って何のためにあるんだろ。そんな疑問(現代人には、そんな疑問すらないかもしれないけど)を内田流に考えていくよ。

そこで出てくるのが「型」というもの。平たく言うと、中身ではなく外見。空間的な立ち位置まで含むもの。神が心の中まで見てくれる西欧文化は外見は関係ない「罪の文化」。日本の倫理観は「恥の文化」。

心の中が正しくても、行いや姿かたちにそれが外形化していなければ、その「正しさ」は社会的に承認されません。だから日本の「恥の文化」は同時に「型の文化」とならざるをえなかった。
と言い、だからこそ、中身はさておき、型のチェックをする発想法なのだと分析しているよ。

そこで「らしさ」が登場するわけ。「型」=「らしさ」と考えていいかも。「男らしさ」、「女らしさ」、「子供らしさ」、「大人らしさ」、「学生らしさ」etc。
さて、「らしさ」の謎。内田先生は、「らしさ」は人類という種の生存戦略のためにあるのではないかと述べているよ。ところが、現代社会は、これを否定するイデオロギーに席捲されているわけだよね。人間としての矛盾だけど、これは資本主義の本質とは否矛盾なわけ。人間というのはそういう動物なのだと。確かに大量生産、大量消費に、「らしさ」は障壁になるよね。単純に考えれば、男女を分けてしまえば、マーケットは半分になるわけだし。
ただ、少し揺り戻しがあるように思う。ロングテールが代表されるように、ターゲットを絞ったマーケティングがインターネット上でも行われてきているからね。

やっぱり、内田先生の論をこんなブログで一言でまとめようなんて無理…。読んで納得して、さらに内田先生の著書を読む。これを繰り返すことで、内田先生の考え方を学んでいこうと思う。「レイバー」ではなく「ビジネス」をするためにね。

疲れすぎて眠れぬ夜のために (角川文庫)
疲れすぎて眠れぬ夜のために (角川文庫)内田 樹

角川書店 2007-09-25
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