遺伝子がわかる!

『遺伝子がわかる!』を読んだよ。「よし!わかった!!」まではいかず。

筆者は『環境問題のウソ』池田清彦氏。『環境問題のウソ』を読んでから気になる先生ではあったけれども、専門は生物学とは…。

で、池田氏の生物学の本を幾つか探ってみたけれども、結構難しそう。そんな時にちくまプリマー新書から氏の本が出たので早速読んでみたってわけ。

第1章では、まずは遺伝子とは何かを説明する。そう、遺伝子とか染色体とかDNAとか…。どれも正確に把握していないよね。まずは、この3つの違いを正確に把握する。…と言っても、アッシは完全に理解したかというとそうでもない気が…。
そして、遺伝子がすべてを決定するという一般的な理解は誤解であることもわかる。

遺伝子はとても重要な道具だけれども、残念ながら、遺伝子だけで生物は作れない。<中略>親が子に伝える最大のものは、生きているシステムとしての細胞である。
ということ。

第2章は老化と病気について。遺伝子は自殺するようにプログラムされているという事実。そして、生殖細胞以外は単なる乗り物に過ぎず、役割を果たしたらさっさと死んでもらったほうがいいものなのだとも。もう、そうかそうかと納得せざるを得ないよね。
そこで

だから、性のない単細胞生物は死すべき運命にないのだ。
という衝撃的な事実。生殖細胞は不死なのだから。

第3章は遺伝子と発生について。ここでは『できそこないの男たち』にも書かれていた性の決定の仕組みについて。人間の場合は、SRY遺伝子がスイッチを入れると雄になるわけだけど、他の生物の決定方法はさまざま。例えば、ワニやカメはは卵の育つ温度によって決まるし、魚はもっといい加減で、体の大きさや環境が変わると性転換していしまうという。となると、

雄雌の固体の違いというのは、生物学的に言えば、実は瑣末なことであって、雄であることや雌であることに本質的な違いはないのだろう。どちらも生殖細胞を作るための便宜的存在にすぎないのだ。
ということになってしまう…。

最終章は進化について。ダーウィン自然選択説とメンデル遺伝学が合体したネオダーウィニズムについて、池田氏は多少の異議を持っているみたい。
遺伝子の突然変異は常態として発生している。その変異によって出現してくる器官が既存の器官とうまく調和しなければ、胚は死んでしまって、新しい生物は出現してこない。偶然に偶然が重なって遺伝子の突然変異が他の器官と調和することができた場合に大きな形態変化を伴った新しいタイプの生物が出現するのだという。これを自然選択を区別して、内部選択と呼ぶ。そう、内部選択の進化の方がよりセンセーショナルな訳だよね。

遺伝子を正確に理解するのはまだまだ知識が必要な感じ。親から受け継いだものは単なる遺伝子のコピーに過ぎないけど、それがどう形質化するかは細胞の問題。でも、やっぱり親に形も性格も似てしまうのは不思議だと言わざるを得ないよなぁ〜。

遺伝子がわかる! (ちくまプリマー新書)
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