公立校の逆襲/藤原和博

公立校の逆襲 (ちくま文庫)』を読んだよ。官立校ではなく、公立校であるところがミソ。

リクルート出身の藤原和博氏が民間人校長として赴任した杉並区立和田中学校での仕事をエッセイ風にまとめたもの。同じ業界の人として、気になる存在だったけど、他の著書を読んで、一生懸命さが伝わってきていたよ。

藤原校長の改革をいくつか紹介。

[よのなか]科の授業はいわゆる総合学習なんだけど、「情報編集力」を身に付けるためのもの。テストで評価できるのは「情報処理力」。つまり、正解をすぐに引っ張り出せる力。これに対して、

二一世紀の日本でより大事になるのは、身に付けた知識や技術を組み合わせて人生を切り拓いていくチカラ、すなわち「情報編集力」のほうである。
といい、[よのなか]科の授業の中で、それを展開しているわけ。それを考えるとアッシなどは、いつこの「情報編集力」を身に付けたんだろ。社会人になってから?自然に?まだ、身に付いていなかったりして…。
そして、その成果が表れる。
思考のスイッチが入り、正解がただ一つではない問題に対しても、頭が働き始めるのだ。以後、それが何であろうと、自分に関わるテーマを示された瞬間から「自ら考えよう」とする態度が習慣として身に付いてくる。
そう、この「自ら考える」という態度が大切。残念ながら、大人でもそういう態度の人が少ないよね。

今の学校は生徒や保護者の多様性にどう対応するかが大きな課題。
先生の力には限度があるし、先生の本来の仕事に注力して欲しい。では、どうするか。地域を巻き込むということ。学校の中に地域本部を立ち上げ、地域の人、学生ボランティア、PTA、卒業生などが学校と関わっていく活動の場とする。
そう、公立校の強みを生かして、「私立を超えた公立校」だと藤原氏。そして、それは、お上からのお達し以上のことを行うことで、真の「公立校」となる。それは「地域校」とも言えるわけ。

藤原校長の取り組みは、日本の江戸時代の寺子屋とか、古代ギリシャで学問が行われたアカデミアに近いよね。学びたい人たち、教えたい人たちが集まる場所。学校の理想って、そういう所なんだろうなぁ〜。

公立校の逆襲 (ちくま文庫)
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