下流社会/三浦展

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)』を読んだよ。タイトルもサブタイトルも大げさすぎて期待外れ。

2005年に初版だから、かれこれ5年ほど前のベストセラーだったと思う。「下流」というキーワードに惹かれて、しばらくの間、チェックしていたもの。
筆者の三浦展氏はもともとはマーケティングの人。マーケティングの手法はいいんだろうけれども、そこから出てくる結論がそれほど驚くべきほどのことでもなく、マーケティング素人のアッシでもだいたい想像できること。
著作を見ていて気がついたんだけど、『下流大学が日本を滅ぼす!』も三浦氏の著作。こちらも内容の薄い本だったような。

さて、本書。
分析としては、人々の階層意識を世代別にセグメントし、これからの日本人がどういう方向に向かうのかを考えるという感じ。
世代のひとつとして新人類世代があるんだけど、その生年がアッシとドンピシャリ。アッシ的感覚だと新人類とはアッシの世代よりさらに10年以上若い世代だと思っていたんだけど…。
ただ、この世代分類を見ていると、昭和ヒトケタ、団塊世代、新人類、団塊ジュニアときれいに15年毎に分類されているような。つまりは、昭和ヒトケタの子どもが新人類で大海世代の子どもが団塊ジュニアとなって、それぞれが対比されるみたいな…。

で、延々とデータの提示とその説明が続く。あくまで、説明であり、分析とか解説までは行かない感じ。

ときどき登場するキーワードが「自分らしさ」。階層意識が「下」だと判断する非正規雇用の若者ほど、「自分らしさ志向」だと筆者。

もしその不安定で不満の多い選択が自分らしさと引き替えになされているとしたら、われわれは、過去30年以上にわたって社会の主流的な価値観となった「自分らしさ」という、まるで青い鳥のような観念を、一体今後どのように取り扱うべきなのか。そして、すでにその青い鳥の虜になった団塊ジュニア世代以降の若者にどう対処すべきなのか。われわれは今、そうした問題を突きつけられている。
そう、青い鳥を追い求めることに、どういう意味があるのか若者たちは理解していないんだろうね。「自分探し」などと言って、旅に出る若者がいるけれども、やっぱり働いてみないと働きたいことなんて分からないんだよ…と新人類のオッサンは思うわな。

同じような意味合いで、こんな記述も。

しかし「バカの壁」は知らぬ間に築かれる。そして築かれても、その存在に誰も気がつかず、壁の中の快適さに耽溺する危険がある。「バカの壁」はまた「下流の壁」でもあるかも知れないのだ。
と。そう、この表現はすごくイメージが湧くよね。

さて、アッシとしては内田樹氏の『下流志向』風の内容をイメージしていたんだけれども、それほど深く分析や考察が行われているわけでもなく、「おわりに」では解決策風も書かれているけれども、アッシ的には納得できず。
続編が出ているようで、読むか否かちょっと思案中です〜。

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)
下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)
光文社 2005-09-20
売り上げランキング : 16433

おすすめ平均 star
star超有名ベストセラーだが・・・
star中流の減少
star上流から見た下流

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

応援クリックはこちら→にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ