解剖学個人授業

『解剖学個人授業』を読んだよ。解剖はやっぱり怖い…。

南伸坊氏の個人授業。アッシ的にはシリーズ2冊目。例によって、養老先生の講義を聞いて、南氏がノートにまとめる。そのノートには、養老先生の言葉がそのまま入ったり、南氏のコメントとか考えが綴られたり。

さて、講義は解剖学って何?から始まる。そう、人体を解剖して、中身を調べてしまえば終わりなのに…って普通の人は思うかも。いや、アッシも含めて。でも、南氏の講義ノートでは、解剖学は「おもしろ主義」だと。知りたいんだからしょうがない。人間の性だね。

次いで、解剖学の歴史。山脇東洋が日本で最初に解剖した人物。それ以前には、萩生徂徠や二宮尊徳の話も。この二人は自然と人間を区別する考えを持っていたと。これは日本の自然科学分野の推進の基盤となったとか。尊徳ってそういう人だったんだぁ〜。薪を背負ってただけじゃない…。

耳小骨の話も面白い。元々は顎にあった骨なんだけど、進化の過程(哺乳類になる段階)で、顎から外して耳の中に入れたとか。だから、人間の顎の骨は外れやすい。進化的にまだ新しくて、出来が悪いのだとか。骨伝導の話も面白いから、読んでみるとよいよ。なんとなく生物学の話になっているけど。

中盤は哲学とか数学の話も。
科学は実証的でなければいけないのか?実証的でないならば科学ではないのか?という議論。科学と個人信仰をゴッチャにしてしまっている人が多いのかも。
数学の話は「無限」について。これも摩訶不思議な世界だから。

現実とは何かという話にも及ぶ。

現実とは、ある特定の重みづけをされた世界である。
と。その重みづけは個人毎に違う。となると、真実って誰にも分からなくなってくるわなぁ〜。

基本的には養老先生の『考えるヒト』『解剖学教室へようこそ』『死の壁』などの内容に近いかも。そうなると養老先生の話を直接聞いた方がいいかもしれないなぁ〜。南氏の話、悪くは無いんだけど、冗長かもなぁ〜。

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