もったいない主義/小山薫堂

『もったいない主義』を読んだよ。小山薫堂のマルチぶりに脱帽。

小山薫堂は初読書。
業界誌に出ていたこともあり、気になってはいたんだけど、図書館に入っておらず、保留状態が続く。で、今回漸く入荷で即予約。入荷から予約が続いているみたい。これも、「おくりびと」の影響か?

さて、本書。
まずは、企画について。筆者が教員として教えている東北芸術工科大学での取り組みをいくつも紹介しているよ。
例えば、AO入試について。

AO入試のいいところは、「人間としての魅力」という変わった尺度を選抜の基準にすることで、試験をする側が「彼がほしい」というように、ある意味で恣意的に学生を選べるところです。
と言い、「4年間この人と一緒に授業をやりたいな」と思えるかによって、その合否を決めるという。うん、アドミッション・ポリシーがしっかりしているよね。AO入試の意味を分かっていて、それを最大限に活用しているわけだし。そう、活用しなければ、「もったいない」よね。

イデアの作り方では、「慶應に入るより難しい学生会館」が面白いよ。慶應義塾大学にほど近い港区三田に250坪の土地があり、ここで何か面白いことができないかと考える。
そこで出てきたのが、この学生会館を建てるというアイデア
入居費を安くするために、まずは企業とのタイアップ。企業はいつでも優秀な学生と接触したいと思っているから、カッコよくてセンスのいい学生を集めるためには、入寮試験を行う。入寮したら、男子だったら自動車メーカ提供のカッコイイ車に乗れるとか、女子だったら化粧品会社提供の新製品を使えるとかにする。それをブログに書いてもらうとかするわけ。

いってみれば、学生をメディア化するということです。
う〜む、これはドラッカーの「非営利体組織の運営」でいうボランティアの戦力化に近い考え方かも…。

この学生をメディア化するという捉え方は更に発展して、

港区三田の学生会館もそうだし、ブティックエアラインもそうなのですが、それらと単なる寮や乗り物としてでなく、メディアとしてとらえていることも、僕のアイデアの特徴かもしれません。
と言い、あっと驚くことをやれば人が集まるわけで、単にPRするだけの伝えるという手法では「もったいない」とも。

幸せの閾値を下げるという発想もよいよ。
石ころを見ただけで、「あ〜、俺は石ころじゃなくてよかった…。」と思えば、幸せになれる。幸せの閾値が高ければ、そこまで達成しないと幸せを感じないわけだし。
そして、チャンスの種はどこにでも転がっているのだとも。

あなたにはそれが見えている。見えているのに拾わないのは、本当に「もったいない」。
と。
あっ、これは、社会人基礎力のひとつ。一歩前に踏み出す力、そのものだなぁ〜。
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