こころの処方箋/河合隼雄
『こころの処方箋』を読んだよ。視点の違いに気づくか否か。
河合隼雄先生のエッセイ風だけど、含蓄のある読み物集。某大学の学園祭の古本市でゲット。何冊もあったから、学生にはかなり読まれているのかもね。全55編で1編4頁だから、スイスイ読めて、1日で読了。アッシにしては早いほう。
本書に通底する考え方としては、「世の中は複雑系だから、一方向からのものの見方では、捉え方に違いがでる。だから、逆にそれを利用して新たな視点で物事を見ていこう。」という感じ。
昔、「ルーツ」という映画が流行ったけど、そのルーツの話。自分のルーツをどこにおろすかという点について、
人類の立っている基盤が平面でなくて球だということは、まったく象徴的であるように思われる。それぞれの人間がそれぞれの場所で違った生き方をしていても、その根を深く深くおろしていくと、地球の中心というところで、すべてが一点において交わることができるわけである。といい、自分の根を深く追求することで他人と交わることを考えるべきだという見解を出す。なんだか新鮮な考え方だよね。こういう話を聞くと嬉しくなる。
たましいと心についても。
心もたましいも「ある」わけではないけれども、心があると仮定する方が便利なように、それより深く考えるときに、心の下(奥)にたましいがあると考えたほうが便利。けれども、
たましいの特徴は矛盾に満ちている。人間の心はそのなかに矛盾が存在するのを嫌うので、たましいの方は矛盾をかかえこむのだ。たましいは極めて個別的であると共に、極めて普遍的である。と。心に問うのではなく、たましいに問うことも大切なのだとも。人生において、深く悩んだときには、自分のたましいに聞いてみようか…。
そして、あとがき。
それぞれの話のタイトルがいわゆる「常識」をひとことで言ったものになっているんだけれども、それを「呪文」して唱えることを言っているよ。
例えば、「人の心などわかるはずがない」とか「ふたつよいことさてないものよ」とか。ここでの意味は本書を読んでいただくとして、そう「呪文」のように唱えると、視点がパッと切り替わって、先が明るく見えるかも。うん、アッシも唱えてみよ〜。
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