科学の扉をノックする
『科学の扉をノックする』を読んだよ。軽めの科学読み物が流行っている?
作家・小川洋子氏が科学者を訪ね、科学の話をレポートする本。NHKの「爆笑問題のニッポンの教養」のスタンスかも。
さて、登場する科学者は様々。天文学者とは、宇宙の始まりを語る。鉱物学者とは、なぜか虚数の話題。鉱物の構造を分析する時に複素数が使われるという。だから、この鉱物学者は虚数は自然界に存在するのだと。
そして、バラの花に似る鉱物の話のところで、作家らしい表現が登場する。
鉱物と植物、縁遠いはずの二つの世界に、同じ構造を持った形が存在する。ある統一された法則が、交わるはずのない鉱物と花を、見えない絆で結び付ける。<中略>それはきっと、広大な自然を統制するにふさわしい、あまりにも美しい数式であるに違いない。『博士が愛した数式』に出てくる台詞のよう。
遺伝の話では、“サムシング・グレート”という言葉がキーワード。すべての命の元となるようなものだという。それは決して石ころのようなものではないと。←ここはアッシとちょっと違う。命の元は石ころのようなものでもいいんじゃないかなぁ〜。
大型放射光施設「スプリングエイト」では、こんな表現も。
人間の目はちっぽけなものだが、人間より大きな像でも富士山でもお月様でも見ることができる。なのに目よりもずっと小さい世界を見ようと思ったら、人間の何倍もの大きさの装置を使って、目にも見えない速さのエネルギーを生み出さなければならない。これは何と、美しい矛盾だろうか。と。
話は粘菌、遺体科学と続く。最後になぜか阪神タイガースのトレーニングコーチが登場。このコーチが何度か「スポーツは所詮、人間がやるものですから」と言う。そう、科学的な解明は進むけれども、科学は精神と肉体というメディアがあって成り立つもの。
そう考えると、やっぱり人間って凄いなぁ〜。
科学の扉をノックする | |
小川 洋子 集英社 2008-04 売り上げランキング : 34425 おすすめ平均 粘菌から宇宙まで。科学って、こんなにも深くて美しいんだな 科学オンチにも優しい本 科学の魅力を余すところ無く伝える Amazonで詳しく見る by G-Tools |