それでも脳はたくらむ/茂木健一郎

『それでも脳はたくらむ』を読んだよ。タイトル倒れの感も…。

久しぶりに茂木さんの著作。相変わらず、図書館では人気で、本書も予約してゲット。
読売ウィークリー」に掲載されていたものをまとめたもので、タイトルはいかめしいけど、中身は軽めのエッセイ。内容的には、茂木さんの子供の頃の話が多かったような。

各章の冒頭に、「脳学事始」という書き下ろしが掲載されていて、この部分はちょっと高度な内容。
例えば、「教養」について。

教養とは過酷で、厳しいものである。
と。そして、人生の課題は「ダイナミック・レンジ」であると。この振れ幅の大きい人生に対応するためには、必死になって教養を身につけるしかないのだと。人生は有限で、血の世界は無限。やってもやっても、無限は無限で追いつくことはないんだけどね。

「意欲」についても。
意欲さえあれば脳は変わるという話。音楽家の脳、数学者の脳、文豪の脳、職人の脳、それぞれが意欲によって少しずつ変化して個性を開花させていく。これは確かだよね。
そして、

人生において一番難しいのは、実は意欲を持つことである。
と。成功体験が前に進む情熱を育むのは事実だけれども、それを生かしきることは難しいとも。
教育の要諦はまさにそこにあるし、哲学的に言えば、果たして「自由意志」はあるのかないのかという問題にもつながる。
という。こういう発想が面白くて、アッシは茂木さん本が止められない。

ラク」について。
人間はついつい易きに流れる。物理学でも化学でも、全てのシステムは一番エネルギーの低い(ラクな)状態に行こうとするという原理があるよね。その一方で、易きに流れない「非平衡」の状態のシステムもある。脳は非平衡なんだとか。だからこそ、常に学び続けているのだと。人間にとって、一番ラクな状態とは死んだ状態。でも、そうなってはおしまいなわけだから、一生懸命生きようとする。養老先生の話にも出てくるが、人間いつかは死んでしまう。その時にラクになればいいわけで、生きている間はラクに流されないようにしようではないかと茂木さんの提案。

マルチな茂木さんらしく、色々な人に会って、色々な話をしているのが本書でもよく分かるよ。それだけでも教養が身に付くのに、それをさらにアウトプットするからさらに強力な教養が身に付くんだろうね。あ〜、このブログも多少のアッシのアウトプットになっているのかなぁ〜。

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