仕事するのにオフィスはいらない/佐々木俊尚
『仕事するのにオフィスはいらない』を読んだよ。砂漠の遊牧民っていう表現に違和感…。
Internetの世界はどんどん変わる。新しいサービスがどんどん出てくる。まさに生き馬の目を抜くといった過激な競争が行われている印象。その中でも、最近のトレンドはクラウドコンピューティング。『クラウド・コンピューティング』は技術的な解説が強い本だったけれども、本書はクラウドを使って、仕事がどう変わるか、どう仕事をしていくかを解説した本だよ。後半は筆者の利用しているクラウドサービスなどの紹介になっているけど。
副題は「ノマドワーキングのすすめ」。ノマドとは遊牧民。つまりは定着した住居をもたないということ。だから、ノマドワーキングとは、オフィスはもたずに、あらゆる場所で仕事をするということになるよ。
そして、本書の中では、ノマドについて、
第1に、ノマドは本質的にフリーランサーです。<中略>と定義しているよ。
第2に、ノマドは、パーマネントコネクティビティで働いています。<中略>
第3に、ノマドはアテンションをコントロールする人たちです。<中略>
第4に、ノマドは鍛え上げられた情報強者なのです。
その中で、アッシが注目するのが、第3として上げられている「アテンションコントロール」。つまりは、オフィス以外の場所でもアテンションをコントロールし、仕事に没頭する能力が重要だということ。上司や周りの目がないと、ついつい仕事をサボりがちになるのが人間だから。
デイヴィッド・ブルックスというアメリカのジャーナリストが、ビル・ゲイツのような成功者たちには2つの大きな能力があるということに気がついたと。ひとつは、強い信念。もうひとつは、
成功者はアテンションを意識的に集中させる驚異的な能力を持っているということでした。<中略>アテンションを自分自身で集中させる能力を持っている人たちは、脳の配線を自分自身でつなぎ替えてしまうことさえできるということが、よくわかります。ということ。さらにこの違いが年収の違いにも表れているとも言っているよ。
後半はクラウドの話。
クラウドのメリットについて述べているんだけれども、データのバックアップや情報漏洩などを防ぐことができるなど、新たな観点からのメリットもあり、目からうろこ。
確かに、ローカルやメディアにデータを持っていれば、それを紛失する可能性はゼロではないわけで、それがクラウドのデータセンターにあれば、まずは無事故。ほとんどの情報漏洩事件はPCやメディアの紛失なわけだから。
もっと、データセンターの活用を考えた方がいいなぁ〜。
筆者の結論としては、ノマドは人と人との繋がりが以前より緊密になると言っているよ。そう、ネットは人を孤立させるなんていう議論も以前にはあったような気がするけど、どうなんだろ。
ただ、緊密になるには、やっぱり、アテンションとかITスキルなどの前提条件があるような気がするなぁ〜。
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