リンゴが教えてくれたこと/木村秋則

『リンゴが教えてくれたこと』を読んだよ。農業は理系だぁ〜。

奇跡のリンゴ』がベストセラーになって、本屋に山積みされたいた時に気になってはいたんだけど、すぐ手にしないでいたら、図書館ではあっという間に予約数が100を超えるほど。
諦めていたら、本書。柳の下の二匹目かとも思ったけど、こちらは正真正銘の本人が著者。図書館で調べてみたら、それほど予約数が上がっていない。で、即、予約。

で、本書は著者の木村秋則氏がリンゴの自然栽培に挑戦する話。
農家の家に生まれたけれども、次男ということもあり、一旦技術系のサラリーマンになる筆者。それでも青森に戻り、農業に従事。その後に木村家に婿養子に入ったところから、リンゴの自然栽培への挑戦が始まる。

まずは、その農薬の凄さ。飛沫を浴びると皮がベロンと剥けてしまうほど。そこで、自然栽培に挑戦することになるんだけど、これがまったくうまくいかず。何年もリンゴの実が生らず、虫が出たりで近隣にも大迷惑状態。そこで、死んでお詫びを…ということで岩木山の中腹まで登る。死に場所に辿り着くと、そこには何故かリンゴの木が。本当はドングリの木だったんだけど、その木の直下の土の匂いや感触から、筆者は答えを得る。そう、「この土を作ればいいのだ」と。

それまで木の上のことしか見ていませんでした。雑草を刈り、葉の状態ばかりが気になって、根っこの部分は全くおろそかにしていました。雑草は敵だとずっと思っていました。それがとんでもないことだったと気づき始めました。
そして、ついに自然栽培でのリンゴを実らせる。

本書の中で、何度も出てくる言葉があるよ。

私の体に米一粒、リンゴ一個も実らせることはできません。私たちはただリンゴの木やイネが生活しやすい環境を作っているだけ、ということを忘れてはいけないと思います。
そう、米作りではなくイネ作り、さらに言うと、イネは田んぼでできるのだから、田んぼ作りとも云える訳。

さて、どうして無肥料でも大丈夫なのか。
窒素肥料を10キロ施す。そのうちの半分はガス化して大気に消える。残り5キロの半分は土壌が取る。残りの2.5キロを作物と雑草が奪い合う。しかし、雑草が少し優勢で、作物は約1キロしか吸収しない。つまりは、肥料は1割しか使われない。だから、最初から無肥料でもできるのだと。

ちょっとした工夫をすれば、1キロぐらいはマメ科の作物でできます。また有効な窒素というのは水に溶けやすく、雨が降ると雨と一緒に下りてきます。
今までの教科書に書いてあることにも疑問を呈す。

観察と実験を繰り返して成功した著者。まさに、農業は理系だと思いました〜。

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