「十五少年漂流記」への旅
『「十五少年漂流記」への旅』を読んだよ。本と旅のコラボ?
作家・椎名誠が、『十五少年漂流記』の舞台のモデルとなったと予想される島を巡る旅ルポ。所々にそれ以外の場所での面白話を散りばめて、飽きさせない本だよ。
旅の始まりはまず南米チリのパタゴニア。『十五少年漂流記』では、マゼラン海峡の無人島に漂着したことになっているから。そして、『十五少年漂流記』のモデルとなった島はハノーバー島であろうと認識されていたようだよ。
そして、そのハノーバー島に上陸。島内を巡ってみるが、『十五少年漂流記』に書かれている島の様子と異なる景色を確認するわけ。
園田学園女子大学の田辺教授の研究では、『十五少年漂流記』の舞台のモデルとなった島は、ニュージーランドの東860kmの太平洋上に浮かぶチャタム島ではないかとされているよ。そこで、椎名氏一行はパタゴニアからチャタム島に移動し、現地調査。そこで見たものは…。
と、全体の流れはそんな内容なんだけど、途中で割り込んでくる世界中の面白話が更に面白いよ。
ネパールのシェルパ族は星にまったく興味が無いとか、オーロラの下で生活しているアラスカの人々はオーロラにあまり興味がないとか。さらには、モンゴルの遊牧民は花に興味がないという。見渡すかぎりいちめんのエーデルワイスの群生の場面…
びっくりして写真を撮り、この花はモンゴル語でなんと呼んでいるのですか?と同行のモンゴル人に聞いたのだが、誰も知らなかった。ついでに書くと、沖縄の漁師はサンゴにあまり関心がないとも。
「これは花である」
で終わりだった。
たくさんあっても、まったくないも同然というお話。
さて、本と旅のコラボ?と冒頭に書いたけど、本書で椎名氏曰く、野外での生活ではいろいろなことを集中的に考える…と。そう、その感覚、よく分かる。単独で山を歩く時なんか、特にそうだし。
知らない世界に入り込んでいくと思いがけない思考にひたっていることが多い。それまであまりにありふれて目にしてきたものの要素が激変しているので、それまで気がつかなかったことの大きな意味を突然知ったりする。それはぼくの場合、自分の体験から得ることも多くあったし、それらの本などを読むことによって大きな刺激を受けてきたことも多々あった。『十五少年漂流記』以外の探検モノの本の紹介も多数有り。また、読みたい本が増えました〜。
「十五少年漂流記」への旅 (新潮選書) | |
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