ダーウィン―進化の海を旅する
『ダーウィン―進化の海を旅する』を読んだよ。何故かダーウィンに惹かれています。
ダーウィンものは何冊か読んでいるけど、こちらも彼の生い立ちから業績までを簡単にまとめたもの。本格的に語ろうとすれば、一冊では終わらない分量になるんだろうけどね。
本書は二部構成。
一部はまさに伝記風の内容。
生い立ちについては、父親は彼を医者にしたかったが、それは裏切ることになる話は有名。20代前半でビーグル号に乗り世界を見聞するわけだが、そこで役に立ったのが地質学。古生物学的な証拠は古い地質から発見されるわけで、異なる地域の遺物が同じ相対年代に属することを示すのに有用だから…というわけ。
高校の時に地学部だったアッシが共感する部分がここにもあった…。
ビーグル号の航海で、イギリスに連れ帰ったフエゴ人の話も有名だよね。3年間のイギリス生活で文明社会になじみ、未開の地の人からすっかり脱した3人のフエゴ人。ここに、ダーウィンの人種差別への反発の原点があるんだよね。
世界にはさまざまな振興や風俗習慣があることにも気がついた。未開人の貧しさを身にしみて知ったが、彼らが文明に完璧に適応できることもわかった。また、奴隷制を敷いている国家が、みずからの卑劣さに目をつぶり、優者の劣者に対する当然の権利だと声高に主張していることを激しく非難した。ビーグル号の航海の後、『種の起源』の着想。フジツボなどの蔓脚類が、軟体動物に分類されていたことに疑問を持つ。そして、変態や、世代交代、一部の生物が成長時期により浮動形から固定形へと変わること、植物の運動などから、まったく違う種類の生物であっても、共通点や類似点が見られることから、すべての生物が共通の祖先をもち、生物の系統図がかけるという考えを示唆していると考えた。まさに種の起源とは何かの発想だよね。
『種の起源』の後。人々にさまざまな考えを与えた『種の起源』。さまざまなイデオロギーが「文明人」「未開人」、「優者」「劣者」などの権威づけをしようとする。しかし、ダーウィンの進化論はそんなことは言っていない。
環境の化学的性質が変わっただけで、それまで少数派だった、いやほとんど無きに等しかった種が、新しい環境における生存・繁栄に適した形質をもっているために優勢になることもあるのだ。第二部は「資料編」。ちょっと資料というよりも、学術的な解説編と言ったほうがいいかも。難しいし。
ここでは、人間の盲腸のような役に立たない器官(痕跡器官)が進化論の証拠になること、動物発生段階における特徴の出方についても、共通の祖先に近い形態から現れてくること、社会的なダーウィンに対する誤解についてなど、詳しいよ。
さて、アッシの気になるダーウィン。世間への反響を考慮し、なかなか『種の起源』を出版せずにいたところなど、慎重派のアッシには同感するところ有り。それが惹かれる最大の要因かもしれません〜。
ダーウィン―進化の海を旅する (「知の再発見」双書) | |
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