さまよえる湖

『さまよえる湖』を読んだよ。どこの国にも冒険野郎はいるもんだ。

スエーデンの地理学者・ヘディンが1934年にタクラマカン砂漠のロプ・ノールという湖の周辺を探検する紀行記。椎名誠『「十五少年漂流記」への旅』で紹介されていたので、ちょっと興味が湧いたわけ。

上巻では、カヌーを使ってクム・ダリアという川を下り、ロプ・ノールに達するまでの話。カヌー旅の始まりはクム・ダリア上流のコンチェ・ダリアという川から。水量が豊かでカヌーの旅は順調のよう。途中、徳門堡というところで川の主たる流れはクム・ダリアに移る。コンチェ・ダリアは干上がっている。先人たちは、ここにダムを築き、川の流れを変えようとする努力をしたようだが、結局、自然の流れには逆らえない。本書の最後に分かるんだけど、ここが「さまよえる湖」解明のポイントだったとは…。

ヘディンは、水量が減ったクム・ダリアを苦労しながら進み、ロプ・ノールに辿り着く。そこで、楼蘭という古代都市の遺跡も発見する。
楼蘭…。名前は聞いたことがあったけど、実際にはこんな場所にあったとは…。そして、シルクロードの要衝がいまは砂漠の中に埋もれているという現実。歴史の不思議、地球の不思議をこの楼蘭が一手に引き受けているような気もするなぁ〜。

さて、下巻では、自動車を使って、中国側からロプ・ノールにアプローチする。残念ながら、ロプ・ノールまでは辿り着かないけれども、砂漠を自動車で進むことの難しさ、そして、かつてのシルクロード発見の難しさを苦労が綴られる。

そして、本書の最後。なぜ、ロプ・ノールは彷徨えるのか。地球の生きざまというか、まさに自然の摂理に沿った動きをしていたのだろうね。水は低い方向へ流れる…その原則を忠実に守っただけなんだろうけど。

全体的に、訳が良かったと思う。適切な日本語と意訳がよいよ。日本人にとって、イメージが湧く意訳という感じでした。

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