「脳」整理法
『「脳」整理法』を読んだよ。タイトルだけを見るとハウツウ本に思えるけど。
人間の脳がインプットされる情報をどう整理していくか…といったところの観点から、「世界知」と「生活知」の緊張関係を把握するのが本書の主題。と言っても、じゃ、「世界知」、「生活知」って何?ってところから入る。
「世界知」とは世界共通で認識されている科学的な知、「生活知」とは個がいかに生きるべきかということに必要な知と説明されているよ。ここの緊張関係が成り立つとは…。
詳しいことは本書に譲るけれども、要は、「世界知」的には60%の確率で発生することが、「生活知」的には、0が100でしか有り得ないというようなイメージだよ。
そして、時間という概念も同じ。「今」という瞬間を生きながら、しかも一瞬先は何が起こるか分からない世界に生きる我々。ところが、「世界知」的には、「神の時間」を想定して、相対性理論を構築できてしまう。何とも不思議な感覚。これは奇跡的なことだと茂木先生は言う。
もうひとつ。確率的な話。
ある要素がコントロール不可能ならば、それはもはや確率の中で扱うしかない、というのが近代科学の基本的立場です。と茂木先生。「世界知」では確率で扱うけれども、「生活知」ではどうしてもコントロールしたくなる。ここでも緊張関係が存在しているよね。
全編に渡って出てくるキーワードが、茂木先生の研究テーマのひとつである「遇有性」。特にセレンディピティの考え方は秀逸。簡単に言うと、偶然の幸運に出会う能力らしいんだけど、セレンディピティの要素「行動し、気づき、受容する」が大切なんだと筆者。
最後は、成功体験が脳を強化する話。これはTVなどでよく出てくるよね。
やっぱり、人生のハウツウ本だったのか、それとも脳科学の本だったのか。読み終わった今、微妙な気分。そういえば、茂木先生、今年から読売新聞の人生相談の回答者になったそうな。やっぱり、この本に書いてあるような立場から、回答するんだろうなぁ〜。
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