宇宙の始まりの小さな卵

『宇宙の始まりの小さな卵』を読んだよ。壮大な科学のロマン。

副題に「ビックバンからDNAへの旅」とあるように、まずはビックバンで何が起こったのかを解明する。そして、生命の誕生。生命とは何かを語るには、DNAを無視することはできない。…と簡単に言ってしまうとそういう本なんだけど、読んでみると壮大な科学ロマン。物理、化学、生物、地学のすべての知識を総動員させて書かれたものという感じがするよ。

さて、ビックバンの話なのに、冒頭は化学の話から。水素とか酸素とか原子とか電子とか。高校の教科書では、原子の説明で、陽子の周りを電子が回っている図が示されているけれども、どうも実際は違うらしいよ。

ボーアのモデルというのは、話をわかりやすくするための模式図で、実際に電子が回転しているわけではないということになったのです。
原子核の周囲にある電子は、確率の雲としてある領域に分布しています。
こういう雲のような実体は、粒子と区別して「量子」と呼ばれます。
なるほど、量子物理学とはここから来ているのかぁ〜。

続いて、電気。ここにはなるほどと思える見解。「人間は電気で動いている」と。人間が動くことが出来るのは、体内の化学反応の作用。化学反応とは電子の動き。電子は電荷の力で動くわけだよね。だから、人間は電気で動いているのだと。考えたこともなかった見解なので、唸るしかないよ。

そして、宇宙の始まりの解明へ。現代科学の認識では、バックバンから0.01秒以降の動きについては解明されているという。ただ、その0.01秒より前の世界については、

時間も大きさもわからない不確定な領域が、ゼロ時間の周囲に存在するのです。従って特異点というものは、もしあったとしても、わたしたちには認識できないのですが、認識できないものは存在しないという量子論的な解釈に従えば、こういいきってもいいはずです。
特異点というものは、存在しない。ただプランクの長さ、プランクの時間の、不確定な領域が存在するだけである…。
という見解。凄いと思う。

さて、話はエントロピーとかDNAとかを織り交ぜて、生命の話。そして、筆者はこれらの科学の凄さより、それを解明して人類が知っているということが凄いことだという。知の力の凄さだよね。

さて、アッシ的な結論。科学というものは、宇宙の始まりを解明するために存在するのではないか。なんだか哲学的な見解になってしまったけど。

宇宙の始まりの小さな卵―ビッグバンからDNAへの旅
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