ネットとリアルのあいだ/西垣通
『ネットとリアルのあいだ―生きるための情報学 (ちくまプリマー新書)』を読んだよ。情報って何だかなぁ〜。
西垣先生の本は何冊か読んでいるけれども、どれも精神の緊張を強いられる読書。でも、情報学と聞くと読みたくなるのがアッシ。ちくまプリマー新書だし、多少は優しく書かれているだろうと期待を込めて読み始めたけど…。
まずは心身問題。「私(自己)」という存在は、意識的な存在としての「言語的自己」と無意識的な存在の「身体的自己」の二つに大別されるという。そして、この二つは緊密に統合された複合体であり、どちらが欠けても完全とはいえないのだと。うん、ここまでは、どこでも言われている話。ここで、筆者は本書のテーマに沿って、
現代の情報社会ではとくに、言語的自己が肥大し身体的自己が縮小しがちだ、という点である。と、重大な点を指摘するよ。
それは、現代情報社会の複雑化によるストレスの増大が引き起こしたもの。言語的自己が肥大化すれば、身体とは分離し、多重人格のような現象を引き起こすのだとも。だからこそ、身体的自己と言語的自己のバランスが重要なんだよね。
こうした様々な考察の後、未来のネットワークを考える。
それは、身体性の回復のためのコンピュータ。目指すのは「有機的機械」。そう、簡単に想像できるものではないけれど、今までのコンピュータは言語的自己だけの世界だったからね。
脳科学、クオリア、心と身体など、茂木さんや養老先生の話題にコンピュータの世界を繋げてみた感じ。確かに難しい話ではあるけれど、身体あっての人間ということはよ〜く分かる。体調が悪い時は、いいアイデアも湧かないよね。せいぜい、身体だけは大切にしないとなぁ〜。
ネットとリアルのあいだ―生きるための情報学 (ちくまプリマー新書) | |
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