高校生のための哲学入門

『高校生のための哲学入門』を読んだよ。この本を理解できる高校生は少なそう。

そう、筆者も仮想の高校生を考えたが、結局万人に向けての本になったとか。でも、若者に読んでもらいたいという思いはアッシも同じ。

まずは第1章「自分と向き合う」は衝撃的。そう、小学生までは無我夢中。筆者の言い方では「世界と一体」で生きている。それが中学、高校と進むとそうではなくなってくる。つまり、世界とは違う自分とは何かという疑問。戸惑いはあるけど、「自分と向き合う」ことが大切だと筆者。アッシの場合、その疑問は40代になった今でも解決できてはいないけど。

そして、人と交わるとか社会の目とは何かとか、老いや死、芸術と宗教の話が続く。最終章は「知と思考の力」。この章は、アッシ的には阿部謹也先生の考える「教養」に繋がる話だと思う。そして、大学の教育とは何かのヒントにもなるような気がする。
例えば、筆者は大学紛争時の教授たちの対応に疑問を持つ。

逆境や危機においてこそ知と思考は力を発揮するはずなのに、非日常的な闘争の渦中で自他の学問や研究のありかたが問われたとき、かれらの知と思考は機能停止したかのようであった。
そして、
塾生の親や、地域の自治会で顔を合わせた年配者や、PTAでの会合で出会った母親が、しばらく話を聞いているうちに、まわりに気がねしないで自分の考えをきちんと提示する魅力的な人物に見えてくるとき、あっ、この人の中には普遍的な知と思考が生きているな、と思えるのだ。
と。これはまさに阿部先生の言う「教養」ではないだろうか。
高校生のための哲学入門 (ちくま新書 666)
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star小説ではないけど、高校生向けの『君たちはどう生きるか?』なのかな
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