ダーウィンの「種の起源」
『ダーウィンの「種の起源」』を読んだよ。やっぱり訳本は読み難い。
長谷川眞理子先生のダーウィン関連本はいくつか読んできたので、その先生の翻訳なら分かり易いかもと翻訳本に手をつけてみたけど、やっぱりダメ。機械的な翻訳になってしまうのは何故だろう。訳者の「はじめに」と茂木先生の巻末の文章がなんと読みやすいことか。
と、文句を言っても仕方が無い。本書はダーウィンの生涯、『種の起源』の発表の背景やその周辺のあれこれを紹介しているよ。
『種の起源』の背景は、ビーグル号による航海など、多くを他書によって語られているし、アッシもそれで読んだことがあるから、ここでは特に言及しない。アッシ的には、『種の起源』発表後の社会的な影響に興味を覚えたよ。
ひとつは、国家間や人種間に存続をめぐる闘争があるという示唆。
『種の起源』が出版されてから、闘争こそを原動力とする社会経済政策を正当化するものとして、悪名高い「社会ダーウィニズム」の考えが成功を収めるようになった。<中略>「適者生存」というスペンサーのいかがわしい造語は、経済的な拡大、急速に環境に適応して植民地化を行っていく状況を描写するに適していた。と、国家間だけでなく、経済成長に必要なものとして、取り入れられていったらしいよ。
そして、それに伴う教会の権威の衰退。これも社会的な影響が大きいよね。さらに、優性という考えたから、人種、民族の違いによる差別や虐待も発生する。ナチの主張はこれを根拠とすると。
ダーウィンはこれらの影響を分かっていたんだろうね。だからこそ、『種の起源』の出版に慎重だったんだろうね。そして、出版後も自ら論争の表に出ることは無かっただろうね。
ダーウィンの「種の起源」 (名著誕生 2) | |
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