日本人はいかに生きるべきか
『日本人はいかに生きるべきか』を読んだよ。阿部謹也シリーズ第8弾。
「いかに生きるべきか」が本書の最大のテーマ。このテーマが、筆者の二大研究テーマとなる「教養とは何か?」に繋がってくる。
つまりは、教養がある人とはどのような人をいうのかを考える訳だけれども、当然ながら、単に知識があるとか文学に明るいだとかいったことではないよね。本書の中で例に上がっているのが、農民とか漁民の場合。彼らは、いかに生きるかを常に考えているわけだからそれが教養そのものだと筆者は言う。ちょっと長いけど、引用。
真の教養とは、「社会の中に生きている人間として、自分の人生というものが、あるいは仕事が、社会とどのようにつながっているかを自覚している、あるいは十分に解らなくても、解ろうと努力している状態のこと」だと、私は考えます。そして、日本の近代の「近代的システム」と「歴史的・伝統的システム」の二重構造の話も面白い。これが筆者の大学論に繋がっているよ。日本の大学はこの二重構造のために危機にあると言っているような…。ただ、その中でも特殊は分野が家政学であるとも。
家政学は生活世界を研究対象としているわけで、それはどちらかというと「歴史的・伝統的システム」をテーマにしているとも言えるわけ。二重構造にはなっていないということなんだろうと思うよ。逆に言うと生活世界を無視するということは、筆者の言う教養には結びつかなくなるんだよね。
本書によって、筆者の本格的な大学論に初めて触れたよ。「教養とは何か」と繋がっていたとはなぁ〜。
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