ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則/ジム・コリンズ

ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』を読んだよ。カンパニー以外にも使える。

ビジネス書の王道と思われる本書。本書の中でもドラッカーの著作との違いの記述があったけど、どちらも基本中の基本なのだろうと思う。ただ、ドラッカーとの違いは本書は調査をベースとして分析結果の報告であること。
それを筆者は、

わたしたちは六年間の調査プロジェクトで、ビジョナリー・カンパニーを選び出し、その軌跡を体系的に調べ、慎重に選び出した比較対象企業と、どう違うのかをくわしく検討し、こうした企業が長年にわたって卓越した地位にある理由を明らかにしようと試みた。この本は、この調査プロジェクトの結果と、それが持つ実践的な意味をまとめたものである。
と言っているよ。

さて、そもそものビジョナリー・カンパニーとはどのような企業か。何度も出てくる比喩が「正確な時を告げることではなく、正確な時を告げる時計を作ること」ということ。例えば、製造業でいえば、

製品を設計する仕事から、すばらしい製品を次々に生み出せる組織を設計する仕事、つまり、環境をつくる仕事にすばやく方向転換した。
ということ。そのために、創業者がやるべきことは、
こうした創業者にとってもっとも大切なのは、会社を築くこと、つまり、時を刻む時計をつくることであり、ビジョンのある商品アイデアで大ヒットを飛ばしたり、魅力ある商品のライフ・サイクルの成長カーブに乗って飛躍することではない。
ということになる。とは言え、本書に紹介されているビジョナリー・カンパニーがその意図で会社を動かしていったかというとそうではなく、単に企業の理念としてそうだったというわけなんだけど。

そして、その理念も重要。

一言でいえば、ビジョナリー・カンパニーの理念に不可欠な要素はない。わたしたちの調査結果によれば、理念が本物であり、企業がどこまで理念を貫き通しているかの方が、理念の内容よりも重要である。
となり、内容よりも一貫性。そして、貫き通すということ。どのビジョナリー・カンパニーもブレないっていうのは凄いわ。その為は、カルト的であったり、ストイックであったり…。

そう、小さな組織でも、組織の一部であっても、ビジョナリー・カンパニーになれる!ということが分かったのが、本書の一番の収穫だね。

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学校の「当たり前」をやめた。/工藤勇一

学校の「当たり前」をやめた。 ― 生徒も教師も変わる! 公立名門中学校長の改革 ―』を読んだよ。やめてみたいこと、たくさん。

著者は千代田区麹町中学校校長の工藤勇一氏。さまざまな学校改革に取り組んで、今ギョーカイでは注目の人物。本屋に行くと、本書が目立つ棚に置いてあることが多いし。その工藤氏が麹町中学校で取り組んだ事例を中心に学校改革の内容をまとめたもの。麹町中学校に移る以前の話もあり、ここに至る経緯もよく理解できるよ。

では、どんな取り組みが行われてきたのか。それが、「服装頭髪指導を行わない」「宿題を出さない」「中間・期末テストの全廃」「固定担任制度の廃止」など。特に宿題とテスト期間については、思いっきり「当たり前」として行われてきたもの。それをやめたというから、これは大きな改革としか言いようがない。

当然に、単にやめることが目的ではなく、ある大方針に則って考え、決めたこと。その方針とは、

学校は子どもたちが、「社会の中でよりよく生きていくようにする」ためにあると私は考えます。
ということ。この学校の目的を実現するために何をしたらいいのかを考えた結果の改革なんだよね。

「何をしたらいいのか」は手段ということ。工藤氏は「目的と手段を取り違えない」と主張する。手段の目的化ってありがち。宿題や定期テストは単なる手段。手段を実行するために、教員も生徒も汲々となっているという事実に目を向ければ、当然の改革なんだよね。

もう一つの主張は「上位目標を忘れない」ということ。麹町中学校の最上位目標は、

すべての子どもたちが「世の中ってまんざらでもない!大人って結構素敵だ!」と思える学校
ということ。内容もいいけど、この最上位目標が設定される意義は大きいよね。教員もPTAも生徒も、何かの課題に取り組む際に、この目標を忘れずに、検討すればいいのだから。

振り返って、我が社の最上位目標はなんだろ…。

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the four GAFA 四騎士が創り変えた世界/スコット・ギャロウェイ

the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』を読んだよ。創り変えたその行き先は?

GAFAとは、GoogleAppleFacebookAmazonのこと。これらの企業は世の中に幸福をもたらすのか、それとも、ヨハネの黙示録の四騎士のような存在なのか?GAFAの現状とこれからの動き、そして、四騎士を追うものはあるのか?世の中の行き着く先は?という観点でまとめた本。筆者は、連続起業家などを経たスコット・ギャロウェイ氏。

GAFA、それぞれの企業の特徴と現状は各所で書かれたりしているので省略するとして、四騎士の共通する特徴は何か?
まずは、

四騎士はすべて他社より先に行くことを旨とし、大胆な計画に賭け、失敗に寛大だ。
ということ。特にAmazonがそうだし、Googleも次々とサービスがリリースされては消えていく。Facebookもコロコロと仕様が変わるかな…。

そして、もっと現実的な問題。

現実から目をそらしてはいけない。フェイスブックの唯一のミッションは金儲けである。会社の成功はクリック数と金額で測られる。ならば記事の内容が嘘でも本当でも関係ないではないか。何人か“メディアの番人”を雇って、擁護させておけばいい。
と。FacebookGoogleもメディア企業ではないと主張する理由がここに。あまりにもひねくれているけど、これが現実と言われれば、納得するわ…。

最後に。

四騎士は計り知れないほどの力を集めた組織である。力は腐敗する。特にローマ教皇が、“金銭への崇拝”と呼んだものに感染している社会では、それが顕著だ。これらの企業は税金を逃れ、プライバシーを侵害し、利益を増やすために雇用を破壊するのは……それが可能だからだ。心配なのは四騎士がそうすることだけではなく、それが得意技になっていることだ。
と。これって、AIで人間の仕事がなくなるっていう論理と同じ?いや、ちと違うか。でも、新しい社会構造への変革ってことだよね。知識基盤社会とか言われているけど、波の知識では太刀打ちできないってことか…。全員が負け組って、どういう社会なんだろ。想像できんわ。

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HIGH OUTPUT MANAGEMENT/アンドリュー・S・グローブ

HIGH OUTPUT MANAGEMENT』を読んだよ。MANAGEMENTのバイブル?

筆者はインテルの元CEOであるアンドリュー・S・グローブ氏。フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグも本書を読んで、大きな影響を与えたというから、マネジメントを知りたいなら必読の書なのかな…。そんなわけで、自分も随分前にkindle版を買っていたんだと思うな。

さて、マネジメントって何だろ。筆者の言うことを自分になりにまとめてみると、アウトプットの最大化に組織を誘導すること…なのかな…と。それを説明する事例を以下に紹介。

まずは、

マネジャーの能力や知識は、部下や関係者の能力を結集できる場合にのみ価値がある。
とか。自分のアウトプットは評価の対象外なんだよね。だからこそ、
この本での中心課題は、マネジャーのアウトプットが、即、担当組織のアウトプットだということである。原則としてみなさんの1日の中の1時間1時間は、自分が責任を負っている部下のアウトプットや、そのアウトプットの価値を高めることに費やさなければならない。
ということになるんだよね。うん、これを理解しなければ、組織は動かせないわけだ。

そして、課題解決の問題。

注意すべきことは、ごくあたり前のルールであるが、どのような問題にしても、生産プロセスの中で、できるかぎり〝価値が最低〟の段階で問題を発見して解決すべきだということである。
「ごくあたり前のルール」と言っているけれども、これは大原則として肝に銘じないとね。

最後に。
自分が気に入ったセリフが「テコを入れる」という技術。

マネジメントの〝 技術〟というのは、一見比較してみて同じくらいの重要度を持つ多くの活動から、テコ作用の優れたものをひとつ、2つ、あるいはせいぜい3つほど選び出して、それに集中する能力にある。
小さな力でも、大きな力を発揮するテコの技術をマネジメントに使うということ。その為にも、テコの技術、その使い方を研究しておかないとね。効果がある使い方をしたいからね。

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amazon 世界最先端の戦略がわかる/成毛眞

amazon 世界最先端の戦略がわかる』を読んだよ。Googleを超えるかも…。

筆者はマイクロソフト日本法人の元社長である成毛眞氏。同社を退職してからの活動は詳しくは知らないけど、執筆活動は続いているよね。たまに本屋で名前を見かけるような気がするし。その執筆活動の一端が本書。テーマはずばりamazon。知らなかったけど、amazonっていう会社は、情報公開としては消極的だとか。だからこそ、注目されるってこともあるだろうし、たまに数字が出るとその規模に驚くことになるんだよね。

では、amazonはどんな企業なのだろうか。まずは、その社長に注目する必要があるかと思うので、ジェフ・ベゾスについて。

そして、特筆すべきは、ベゾスもそれぞれの事業をコントロールする気がないところである。これこそがアマゾンが新たな事業をどんどん横展開しやすい理由であり、これがアマゾンが何の会社かをわかりにくくしている最大の理由かもしれない。
ちょっと待て。コントロールしないってどういうことなんだ?といきなり躓いてしまうけど、それこそがamazonamazonたる所以なのかもしれないね。

では、この「何の会社か?」という点。これも摩訶不思議。

現在の投資家は、従来のものさしでは測れないこの企業を評価している。とはいえ、本当の投資家たちがアマゾンを理解しているかは怪しいこときわまりない。先述したように、ベゾス自身がわかっていないのだから、第三者が未来についてわかるわけがないではないか。
これもまた身も蓋もないない話。それでも、投資は行われ、さらに成長していくamazonって。

では、筆者の考えはどうだろうか。いわば「プラットフォーマー」という考え方をしているよ。

「作ったシステムを売る」というのは、プラットフォーマーにとっては必要条件だ。巨大なキャッシュを持つアマゾンにとって、新規事業での売上がどの程度の規模になるかなどは些末なことである。そんなことよりも、仕組みそのものが業界に変革を起こすモデルということが大切なのだ。テクノロジー会社の所以である。アマゾンゴーの仕組みを、スーパーなどへライセンス販売することを最終的には視野に入れているはずだ。
ということ。自社用に作ったシステムを最終的には売っていくというビジネスモデル。巨大ゆえに売る自信もあるんだろうね。

最後にGoogleとの比較。これはリアルな世界を把握しているamazonの方が勝ち目があるような気がしてきた。Google贔屓な自分だけど、Googleは所詮仮想世界の情報しか集められないのではないかと…。ネット世界の覇権戦争、まだまだ目が離せないね。

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東京に暮す/キャサリン・サンソム

東京に暮す―1928~1936 (岩波文庫)』を読んだよ。日本人は変わっていないなぁ~。

イギリス人のキャサリン・サンソム夫人が1928年から1936年まで日本に住み、日本人の様子を観察した記録。「東京に暮す」となっているけれども、特に東京に拘るわけではなく、日本と日本人全般について語っているよ。後半は温泉場とか上高地とかまで出てくるし。

1928年から1936年といえば、ちょうど昭和一桁。西洋化が進み、自信を付けてきた日本人に戦争の足音が聞こえてきつつある時代。世相はそんな感じだけど、素の日本人はまさに愛すべき日本人。それをサンソム夫人は素直に表現しているよ。

では、サンソム夫人は日本人をどう見ていたのか。まずは、女性に対する評価。

女性が母のように優しく献身的であるということは日本の社会にとって測り知れない貴重な財産であり、今日近代社会の必要に迫られて女性たちが家庭という狭い枠の外に出るようになったのは嬉しいことです。
とあらゆる賛美を捧げているよ。そう、これは現代日本でも変わらない点かな。優しく献身的な女性の社会進出はさらに進んでいるし。今の日本をみたら、夫人はさらに評価してくれるような…。

さらに女性に関連して、

女性が法的にも慣習上も男性に従属しているのに不当に低くみられることがないのは、日本人がもともと優しくて陽気だからです。
とも。ここでも、ポイントは「優しくて陽気」ということ。優しいというのは分かるけど、陽気というのも本当かもしれないね。そもそもプラス思考なんじゃないかな…。

もう一つはおもてなしの心について。

日本人がお客を大いにもてなす理由はいくつか考えられますが、その第一は日本人が親切で寛大な国民だということです。彼らは実に気前がよく、時間とお金と配慮を惜しみません。
という。その理由もユニークで、「自分たちも楽しむため」であると。それは宴会好きという表現にもなっていくけど。うん、確かに宴会好きかもしれないけど、外国人と比較したことがないからなぁ~。

ともあれ、日本人を第三者の立場で見てみると、面白いことに気がつくんだよね。やっぱり、日本人っていいよね。

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未来に先回りする思考法/佐藤航陽

未来に先回りする思考法』を読んだよ。そうだったのか、イノベーション

『お金2.0』で金銭主義に代わる価値主義を提示した佐藤航陽氏。価値についての考え方がどんどん変わっていく現代社会において、未来に先回りなんてできるのだろうか…という難題を丁寧に解説した本書。解説っていうより、筆者の経験と考えをまとめたものかな。

あくまでも「思考法」なので、単に未来はこうなるという予測を述べるわけではなく、どう考えるたらいいのかという点がポイント。だから、

しかし、もしも社会が進化するパターンを見抜いていれば、状況が変わっても未来を見通すことが可能になります。そのための汎用的な思考体系をお伝えするのが本書のテーマです。
ということ。そう、その為には「点」ではなく「線」で捉えることが重要だとも言っているよ。一歩引いて見るとか、俯瞰的にとかいうことなんだよね。

そして、冒頭のイノベーションについて。

逆にイノベーション創出が叫ばれて久しい日本は、他国からの圧力もなく、自国の市場もそれなりに規模があります。イノベーションをする「差し迫った必要性」が日本社会には存在していないのです。だからこそ、仮にイノベーティブなものができたとしても、今の日本において普及するかどうかはわかりません。
という見解。なるほど、普及する以前に、それがイノベーティブなものだと気が付かないかもしれないし。さらに、この「必要性」がキーワード。「必要性」を考えるというのが、原理を考えるにあたって必要な思考法だからね。やっぱり、必要性のないところに、イノベーションは生まれないよな…。

未来に先回りする思考法
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