空港は誰が動かしているのか/轟木一博

空港は誰が動かしているのか (日経プレミアシリーズ)』を読んだよ。題名と内容の乖離。

このところ、飛行機に乗る機会が続き、またもや乗り物好きの血が騒ぐ自分。また、乗りたいなと思うけど、その機会もお金もないので、手っ取り早く本を読むことで誤魔化すことにする。本書と同著者が書いた『航空機は誰が飛ばしているのか』は興味深く読めた記憶があるので、その続編という感覚で本書を手に取ったわけ。

で、本書の内容は、新関空会社の経営統合問題。具体的には、関空・伊丹の両空港を運営する民間会社設立までの経緯をまとめたもの。だから、自分は空港の運営について書かれた本だと思っていたので、その違いに愕然。しかも、後半になるにつれて、契約とかの話が増えてチンプンカンプン。そもそも用語が分からないから。

では、改革前の関空運営はどうだったのか。それは完全にお役所仕事。

それなのに、何億円もの投資は採算性や必要性についてたいした議論もされずに通っていく。暴れるトラは放置して、ハエばかり追い回していては、職員が疲弊するだけである。
とか、
お役所組織は担当によって縦割りにするから、各担当部局は各自の業務だけを見て、投資・プロジェクトの全体像、会社全体の収益性を把握する意識が薄くなりがちだ。
とか。どこの組織でも有りがちな課題…。耳も痛いし。

それでも、自分的には面白いなと思った観点は、民間と公共の狭間でどう折り合いを付けていくかという点。空港という公共性が高い事業体で民間的な手法をどう活かしていくのかは、普通の経営書では得られない情報かも。この点に関して、筆者は、

そして、このプロジェクトを成功させるには、「民間のビジネスの知識」と「公共的な解決」の両方を掛け合わせた総合力が要求される。課題を数え上げればきりがないが、組織人として、すでに厳然と存在する課題をどうこう言ったところで課題がなくなるわけではないので、ミッションの実現というゲームを戦う上でのハンデに過ぎないとなる。
と言っているよ。ある意味、やりがいのある仕事だったということなんだろうね。

そう、期待していた内容と違っていたのは確かなんだけど、組織論という意味で幾つか参考になる本書でした〜。

空港は誰が動かしているのか (日経プレミアシリーズ)
空港は誰が動かしているのか (日経プレミアシリーズ)轟木 一博

日本経済新聞出版社 2016-05-10
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