「原因と結果」の経済学/中室牧子,津川友介
『「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法』を読んだよ。2匹目のドジョウっぽいけど。
筆者のひとり中室牧子氏と言えば『「学力」の経済学』。これが大ベストセラーだったので、とにかく筆者として名前が挙がっている限り、売れるのは確実。だから、本書のどこまでの執筆を担当したのだろうかと、ちと疑問が残るわけ。
それでも本書を評価しようと思ったわけは、テーマを徹底的に絞って、分かりやすく解説している点が気に入ったから。で、そのテーマとは「因果推論」。つまりは、因果関係をデータに基づいてきちんと説明できること。その根底には、因果関係と相関関係の違いを分からずに使ってしまう事例が世の中に多いからという事情もあるよ。
では、その因果推論。その手法について、
因果推論を明らかにするための手法は1つではない。しかし、それらの方法に通底している目標は、「比較可能なグループを作り出し、反事実をもっともらしい値で置き換える」ということなのである。と説明しているよ。そう、この説明が理解できれば、本書の内容はすべて分かったも同然。変数が多くて、難しそうな議論も、単純化して比較するっていうことなんだよね。
そして、因果推論の概念は政策決定にも大いに役に立つ。
因果関係を検証することなしに、一見すると効果があるように見える政策を実施することは、何よりも国民に大きなリスクを負わせているのだということを忘れてはなるまい。ということ。筆者はその例として「ゆとり教育」を上げているよ。はぁ〜。
因果推論の議論は楽しい。エビデンスでスッキリ説明できるから。もっと勉強して企画に活かせるようになりたいなぁ〜。
「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法 | |
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