科学の発見/スティーヴン・ワインバーグ
『科学の発見 (文春e-book)』を読んだよ。人間の飽くなき探究心。
突然だけど、科学史が好きだ。『宇宙創生』は分からない箇所がありながらも、ワクワクしながら読んだなぁ。だから、本屋の理系本コーナーで本書を見かけた時は、即チェック。単行本だし、分厚かったけど、いつかは読もうと心に留め、今回ようやく読了。
著者はノーベル物理学賞を受賞したスティーブン・ワインバーグ氏。本書はテキサス大学の教養学部生向けの科学史の講義をもとに執筆され、現代の科学的方法論がいかに発見されたかを科学史をベースに書いたもの。
ただ、普通の科学史の本ではつまらない。だから、筆者は、
本書の中で私は、現代の基準で過去に裁定を下すという、現代の歴史家が最も注意深く避けてきた危険地帯に足を踏み入れるつもりでいる。本書は不遜な歴史書だ。と宣言する。つまりは、現代の視点から、過去の科学者たちをバッサリやってしまおうというわけ。普通は有り得ないよね。だって、過去の科学者たちはその時代の知識や技術しか持ち合わせていなかったわけで、その中で最大の知恵を振り絞っても、現代に叶うわけはないのだから。
で、どういう風にバッサリなのか。例えば、
現代科学のある重要な特徴が、これまで言及してきたタレスからプラトンに至る思想家にはほぼ完全に欠けている。彼らのうちの誰も、自分の理論を実際に確かめようとしていないのである。と。確かに現代科学は仮説、実験(観察)、考察、結論で成り立っているからね。そう、古代ギリシャは科学者というより哲学者だったからね。
現代物理学の営みは物事の単なる記述ではなく、説明(「説明」という言葉の一般的な意味で)だと思うからである。「記述」と「説明」を明確に線引きすることはたしかに難しい。世界に関するある法則を「説明する」とは、それがさらに基本的な法則からどのように導き出せるかを示すことだと言えるだろう。と言う。そして、ニュートンは惑星の動きを記述したのではなく、「説明」したのだとも。微妙は違いだけど、分かるような気がするよね。
最後に、科学を超越した話。
つまり、世界はわれわれにとって、満足感を覚える瞬間という報酬を与えることで思考力の発達を促すティーチングマシンのような働きをしているのである。と筆者。そう、これがなければ、科学の発見もなかったわけで、当然に人類の発展もなかったよね。与えたのは「神」ではなくて、「世界」だと言っていることも、本書を象徴しているなぁ〜。
科学の発見 (文春e-book) | |
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