知の進化論/野口悠紀雄

知の進化論 百科全書・グーグル・人工知能 (朝日新書)』を読んだよ。知の歴史、おさらい。

野口悠紀雄氏の著作物は何年ぶりだろう。もしかしたら、『「超」整理法』以来かもしれない。『「超」整理法』は面白かったという印象が強いので、自分的には、野口悠紀雄氏の名前はいつまでも頭に残っていた感じ。

で、人間が知識をどのように伝達していったか、その歴史を現代まで辿り、その劇的な変化を解説したのが本書。だから、知識の進化というより、メディアの進化なんじゃないかなぁ〜って思うけど。

そして、知識はどのように伝達されていたのか。隠蔽されたのが基本になっていて、徐々に万民に開放されていく。順序としては、印刷技術の発展があり、百科事典の発刊があり、そして、インターネット時代のオープン化。当然、これらの動向には課題があり、難しい言葉で言えば、「排除可能性」と「限界費用」という点からの議論であると筆者。経済活動と知の世界とのせめぎ合いと捉えたらいいのかな。

さらに、Google検索の時代。いつでもどこでも検索できるので、知識は外部にあればよいという議論があるけれども、それは本当だろうか。筆者の答えはNo。

その場合、知識が内部メモリ、つまり自分の頭の中に引き出せていない限り、それを発想に有効に使うことはできません。したがって、アイディアの発想のためには、いまでも多くの知識を内部メモリに持っていることが必要です。
と。そう、やっぱり知識が頭に中にあることで、それから複雑に繋がり合い、新しい発想が生まれるんだよね。

最後は人工知能。人間の知的な活動は人工知能に代替されるのかという素朴な疑問に、

第1章で述べたように、ニュートンの研究動機は、「自分の密かな抑えがたい欲求を満足させること」だったのです。つまり、知識の獲得それ自体が目的化していたことになります。ここでは、知識は最も価値が高い消費財になっています。
と説明しているよ。つまりは、人工知能は知識を消費財として捉えることは有り得ないということだよね。人間の飽くなき探究心って、底知れないわけだ。

さて、これを契機に『「超」整理法』でも、読み直してみようかなぁ〜。

知の進化論 百科全書・グーグル・人工知能 (朝日新書)
知の進化論 百科全書・グーグル・人工知能 (朝日新書)野口悠紀雄

朝日新聞出版 2016-11-11
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