人工知能は人間を超えるか/松尾豊
『人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書)』を読んだよ。境界線はあるのか…。
人工知能(AI)がまたもや脚光を浴びつつあるという。これって「またもや」というのがミソで、印象的にはブームを繰り返しているようにも思える。筆者もそれは分かっていて、本書はそのブームの歴史を辿ることから始まる。
さて、人工知能って現在はどこまで進んでいるのか?今や金融市場ではコンピュータによる高速トレードが常識の世界。とても人間が勝てる域ではないという。でも、電卓が世の中に出た時も、同じだったのではないか。筆者は、
だが、足し算や引き算でとうの昔に人間が電卓に敵わなくなったのといったい何が違うというのだろうか!と。そう、もう50年も前の話かもしれないね。
では、過去のAIブームとはどんなだったのか。
第一次は、難解な定理を証明するとかチェスで勝利するといった高度に専門的な内容を解決するもの。ただ、大量は知識が必要とするような現実の問題を解決するのは厳しかった。
そして、第二次は、その知識を蓄積し活かしながら、諸問題を解決しようとするもの。だた、これにしても、知識とは膨大であり、それを形式的に記述することが難しいという壁にぶち当たる。
さらに現在の第三次。ディープラーニングという特徴表現学習の技術を使った人工知能が急速に進展しているという。確かに、この特徴表現学習は人間の思考法に近いのかもしれない。それでも、人工知能が人間を超えることはないだろうと筆者。
結局、
人工知能が人類を征服するといった滑稽な話ではなく、社会システムの中で人間に付随して組み込まれていた学習や判断を、世界中の必要なところに分散して設置できることで、よりよい社会システムをつくることができる。それこそが、人工知能が持つ今後の大きな発展の可能性ではないだろうか。というのが結論っぽい。でも、いつのまにか人間がやっていると思っていたことが、裏ではコンピュータがやっていたなんてことが日常茶飯事になるわけ。それって、本当に人間の価値って何なんだろうと思ってしまう。
人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書) | |
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