続・マッハの恐怖/柳田邦男
『続・マッハの恐怖 (新潮文庫)』を読んだよ。それでも空を飛びたい。
文字通り、『マッハの恐怖』の続編。とは言え、前編を読んでいなくても、本書単独で完結した内容なので、十分に読み応えのあるものになっているよ。ページ数も591頁と前編にも増して膨大。それでも、一気に読み切った感じ。
内容的には、昭和46年の『ばんだい号』と翌同47年の日航機の事故2件を取り上げたもの。この3件の事故は、ほとんど原因が究明されず、おおよそ“パイロットのミス”という結論を付けられてしまったもの。
特に最初の『ばんだい号』の場合は、多くの証言があったにも関わらず、「そんな筈はない」という論理が先行し、証言説が結局は却下されてしまう。
『ばんだい号』と同じYS-11型機のベテランパイロット氏曰く、
「事故というものは、普段では想像もできないような状態のときに起こるものです。『そんな筈はない』という発想では、事故調査では真っ先に捨てなければならない考え方ですよ。正常なら事故は起こらない。『筈がない』ような状態になるから事故になる。それが私の考えです」と。そう、証言という事実より、机上の論理で判断してしまうとは、科学的ではないよね。
そして、本書の後半は「ミスの論理」について。人間だからミスはある。でも、その背景には何があったのか、それを知る必要があるのではないかと筆者。つまりは、
このように対比してみると、事故や災害からの安全を、総合的・システム的に考えず、個人の責任に転嫁してしまう日本人の精神風土は、歴史的に形成されてきたもののように見える。と。そして、誤って終わりで済ませてしまう風土が、事故を繰り返してしまう要因ではないかと。
機械と人間のシステムだからこそ、両者からの検証が必要なのであって、決して個別の要因だけに集約してはいけないんだよね。システムとしてどうなのか、判断するべきなんだろうなぁ〜。
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