貴婦人Aの蘇生/小川洋子
『貴婦人Aの蘇生 朝日文庫』を読んだよ。不思議な物語。
小川洋子の小説は『博士の愛した数式』以来2冊目。2冊目に本書を選んだのはたまたま。確かamazonでkindle本がセールされていたからだったと思う。
主人公は伯母さんにあたる貴婦人Aと一緒に住むことになった女子大学生。伯母さんの夫が母親の兄にあたる関係。しかも、貴婦人Aはロシア人という設定。
そして、話の中心は、貴婦人Aの出自。いわゆる「アナスタシア伝説」っていうやつなんだけど。
貴婦人A曰く、
「自分の出自を背中に書いている人間など、一人もおりませんわ。それに、自分が何者であるかを、一口で説明するのは、誰にとっても困難なことじゃありませんかしら。ロマノフ家の人間であろうと、そうでなかろうと」と優雅な物言い。結局最後まで、のらりくらりなんだけど。
登場人物で助演男優賞は、主人公のボーイフレンドのニコ。ニコが奇病という設定が、『博士の愛した数式』を思い出させ、さらに不思議な感覚に陥る。
小川洋子の小説って、どれもがこんな風な不思議な感覚なんだろうか。これが小川ワールドっていうやつ?次は何を読もうか…。
貴婦人Aの蘇生 朝日文庫 | |
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