スノーデンファイル/ルーク・ハーディング
『スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実』を読んだよ。現代版『一九八四年』。
2013年6月末、全世界を驚愕させたスノーデンという人物の事件。事件の概要は何となく把握はしていたけれども、それが世界的にどのような影響があるのかを良く理解していなかったアッシ。でも、本書を読んでみようと思う気になったのは、やっぱりこの事件が気になっていたから。
では、どんな事件だったのか。
簡単に言ってしまうと、スノーデン氏が勤務(NSA)先で入手した情報が世界中の人たちが監視されているという証拠になるもので、それをジャーナリスト経由で公表したというもの。
NSAを始め、米国政府はそれを否定するわけだけど、スノーデン氏の公表した資料からはそれが読み解けるわけがなく、大騒ぎとなったわけ。
論点は、NSAによる盗聴や情報傍受がテロリスト対策なのか否かという点。インターネットという通信網の発達であらゆる情報が簡単に傍受できるようになった世界において、テロリスト対策は「干し草の中から針を見つけるようなもの」。いや、現実的にはもっと気の遠くなるようなことかも。例えば、針ではなくて、スズメの涙とか。
しかも、テロリスト達は電子的な手段での通信はとっくに止めているかもしれないし。となると、傍受の意味は何なのかという議論になるのは当然のことのように思うわけ。
結局は、
スノーデンの話を聞いていると、NSAの行状はまるでオルダス・ハクスリーやジョージ・オーウェルなど、20世紀のディストピア小説からの引用のようだった。だが、NSAの究極の目標はそこにとどまりそうにはなかった。あらゆる人、あらゆる場所からのあらゆる情報を収集し、それを無期限に保存するのだ。ということのようだよね。これを知ったからには、
だから公表する決心をした、とスノーデンは主張した。人生やキャリアを投げ出してもよい、と。彼はグリーンウォルドにこう言った。「発言や行動のすべて、会って話をする人すべて、そして愛情や友情の表現がすべて記録される世界など住みたくありません」と。極く普通の感覚だよね。国家といえど、許されるべきものではないよね。
さらに、NSAのやることは徹底している。
リーク情報によれば、この諜報期間は4G携帯の暗号化システムも破っているほか、HTTPS、SSLなど、セキュアトランザクション(銀行やビジネス関連の安全取引)で使用されるオンラインプロトコルも標的にしている。全世界の暗号化市場を「方向づけ」たいというのが願いである。と。これは恐ろしい。暗号化そのものを破壊するつもりなのか。本末転倒な話。あるいは、目的がずれてしまったということ。これをリークした功績も大きいよね。
さて、1年限定でロシアに亡命を許可されたスノーデン氏。すでに1年を過ぎたけど、その後はどうなったのだろう。どこにも情報がないけれど、これも「ビッグブラザー」に消されたのでなければいいけど…。
スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実 | |
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