暴露/グレン・グリーンウォルド
『暴露:スノーデンが私に託したファイル』を読んだよ。安全保障って何だろう。
『スノーデンファイル』に引き続き、いわゆるスノーデン事件もの。今回は実際の当事者が執筆しているから、かなりリアルで、且つ当事者たちの気持ちが分かる文章になっているよ。
それにしても、本書と『スノーデンファイル』、どうして同じタイミングで出版されるんだろ。アッシのように2冊とも読もうと思う効果を狙っているのだろうか…。
本書は全五章の構成。前半の二章はスノーデン氏と筆者の接触から報道までの一部始終をまとめたもの。『スノーデンファイル』と重複する部分だけど、やっぱり、スノーデン氏の覚悟と<ガーディアン紙>のギリギリまでの調整は見もの。特に、冷静なスノーデン氏とバタバタの<ガーディアン紙>を対比として見ると面白いよ。
第三章はいわゆる「スノーデンファイル」の全容。資料としてはいいんだけど、長くて単調、しかも同じようなことの繰り返しなので、ちょっと飽きる。
第四章は政府による監視の是非について、資料や事例を元に考える。ドイツのメルケル首相の携帯電話がNSAによって盗聴されていたという事件があったけれども、それに関連して、
メルケルは、アメリカはコミュニストの支配体制と同じだと言ったわけではないにしろ、NSAでも、シュタージでも、『一九八四年』のビッグ・ブラザーでも、パノプティコンでも、威嚇的な監視国家にとって最も重要なのは、眼に見えない権力によって常に見られているかもしれないという意識を人々に植えつけることに変わりはない。と解説しているよ。手法は違うけど、狙いはどれも同じってわけ。やっぱり、ここでもビッグ・ブラザーの登場か…。
そして、最後の第五章。ここでは、スノーデンファイルを公表した筆者自身が逮捕されるかもしれないという危機について、綴る。そこには報道の自由とは何か、ジャーナリズムとは何かという論点があるわけ。筆者は、ジャーナリズムを“第四権力”と定義して、
“第四権力”の理念は、大いなる権力を持つ者に対して牙を剥き、あくまで透明性を求めるものだ。報道機関の使命とは権力者が保身のために必ずばらまく嘘を見抜くことだ。と主張する。うん、その使命があるからこそ、そしてその使命を全うしていることを信用しているからこそ、人々は報道機関から情報を得ようとするんだよね。
アッシ的には、第五章が刺激的。後半はスノーデンが吹っ飛んでしまったけど、メディアを考えるいい刺激になりました〜。
暴露:スノーデンが私に託したファイル | |
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