空の中/有川浩
『空の中 (角川文庫)』を読んだよ。この想像力に脱帽。
有川浩氏のいわゆる自衛隊三部作のひとつ。アッシ的には『塩の街』に続く二作目。三部作といっても、それぞれの作品は独立していて、本書は『塩の街』とは色合いが違った作品になっているよ。
中心となる登場人物は4人の男女。高校生のペアと大人のペア。それぞれが個性的でいい味を出している。大人のペアの女の方は、『図書館戦争』の笠原郁のイメージに近いかな。もう少し大人だけど。
そして、忘れてはならないのがこの4人以外で重要な鍵を握る生物。こういう生物に物語の鍵を預けてしまうところに、この作品の面白さがあるのかも。
それにしても、どうしてこういう生物を登場させることを思いつくんだろ。この想像力にはすっかり脱帽。一般人は、机の前で頭を捻ったって、何にも出てこないのに…。多分、勝手に湧いて出てくるんだろうね。訓練とか、インプットの問題なんだろうけど。
最後に、もう一人のキーパーソンである宮じいの言葉。
「雑魚と呼びゆうがもわしらの勝手ぜ。魚のほうは自分が雑魚じゃ邪魔じゃは思っちょらんきね。ただ生きちゅうだけじゃ。ただ生きちゅうだけのもんを、わしらが居るの要らんの、えいの悪いの、勝手に分けゆうがよ。これは川だけじゃのうて、海でも山でもそうよ」と。うん、それは例の生物も同じこと。そう、人間もだよね。
空の中 (角川文庫) | |
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