14歳からの社会学/宮台真司

14歳からの社会学: これからの社会を生きる君に (ちくま文庫)』を読んだよ。14歳に理解できるか…。

筆者である宮台真司氏の著作は基本的には精神の緊張を伴う読書。つまりは難しい。でもたまに読みやすいものもあったりして、この難易度の差は何なんだろうって、読者の方が悩むんじゃないかと、これはアッシの勝手な心配。
で、本書の難易度はというと、珍しく中の中。それでも、タイトルから想像すれば、中学生でも読めそうだと思えるし、副題が「これからの社会を生きる君に」という位だから、アッシにも読めそうという気にさせてくれるよね。まぁ、どっちにしても、中学生には多少厳しい内容に思うけど。

さて、本書の内容。タイトル通りなんだけど、中学生に向けて、宮台氏流の社会学を様々な視点から論じたもの。
冒頭の<自分>と<他人>の話では、「みんな」の定義がイメージしにくくなっているという話から始まって、社会の「共通感覚」って何だろうということに。筆者曰く、

ところが、ぼくたちが生きるいまの日本社会は、こうした議論をつくす方向に向いていない。「共通感覚」がくずれて不安になった人々が、単に厳しくルールを当てはめることや、ルール違反に厳しい罰をあたえることだけに関心を向けがちだ。これは、よくないと思う。
と。この感覚って、すごく日本人的って思ったけど、西欧だって議論を尽くした上でのルールなんだろうね。

そして、学ぶことについて。その動機として、通常考えられるのが「競争動機」と「理解動機」。そこに筆者はもう一つの動機を付け加える。それが「感染動機」。スゴイ大人にしびれることで感染することを意味するんだけど、感覚的に分かるよね。誰でも何回か感染したことがあるはず。そして、塾の役割もこの「感染」。

親が子どもに塾通いをさせる名目は「受験のため」だ。塾はその名目を十分満たしながら、実際は多くの場合、子どもが「感染動機」を得る唯一の場所として機能している。その機能に親も子もうすうす気づいているだろう。必要なのは、知識じゃない。あくまで「感染」なんだ。
と筆者。うん、唯一というのは極論かもしれないけど、要は家庭と学校以外の第三の場所がその役割として機能しているんだろうね。
社会は複雑。大人になれば、それなりに整理をつけていけるんだろうけど、14歳の子供たちに少しでもその一端を整理して上げるという意味で、本書は有益だよね。勿論、大人が読んでも、なお良しだけど。
14歳からの社会学: これからの社会を生きる君に (ちくま文庫)
14歳からの社会学: これからの社会を生きる君に (ちくま文庫)宮台 真司

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