『忘れられた日本人 (岩波文庫)』を読んだよ。自分が生まれるちょっと前の話だなんて…。
「日本人」をキーワードに図書館DBを検索して見つけた本で、いわゆる民俗学と言われる分野。筆者は宮本常一氏。実は違う本を探していたんだけど、勘違いして借りてしまったというのが実のところ…。
内容的には、主に昭和初期から戦前までの日本人、特に農漁村に生きる人たちのルポルタージュ。ルポなんていうとカッコよく聞こえるけど、筆者や民俗学者だし、相手はほとんど老人だから、その人生は波乱万丈ドロドロ人生。でも、それがまさに「忘れられた日本人」なんだけど。
「忘れられた」っていうくらいだから、当然アッシには想像を絶する世界がそこには広がっているわけで…。
では、「忘れられた日本人」とはどんな様子だったのか。
まずは、
第一農家はほとんど時計を持っていない。<中略>私は旅の途中で時計をこわしてから時計を持たない世界がどういうものであったかを知ったように思った。という記述。時間に拘束されない生活だけど、お昼も食べなかったり、夜遅くまで働いたりと、結構大変な生活みたい。でも、人々はそれが普通だと思っているから、気にしないっていうのが興味深いよ。
そして、「嫁の悪口を言う講」の話。お婆さん達が集まって、愚痴を言い合うのだが、当然嫁の悪口が多くなる。でも、その悪口を周りに言いふらしたりはしない。自分たちもかつては嫁の立場だったが、その姑たちもそんなことはしなかったからだと。それに対して筆者は、
私はこれをたいへんおもしろいことだと思った。自らおば捨山的な世界をつくっているのである。と分析しているよ。これも生活の知恵なんだろうね。
その他に、田植えは女の仕事であったということも、アッシ的には新たな知識。そして、それは女たちの楽しみであり、世間話をしながらの田植えであったとも。だから、田植えが効率的になると、その楽しみも少なくなり、男も田植えをするようになったということのようだよ。
と、色々な話題が出てくるけれども、これらを総合的にまとめると、筆者的には「東日本と西日本の違い」と「無字社会と有字社会」の2本柱になるみたい。詳しいことは本書に譲るとして、アッシ的には、これって戦前の話でしょ?アッシの生まれる数十年前なんだ…とビックリでした〜。
忘れられた日本人 (岩波文庫) | |
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