デジタルネイティブの時代/木村忠正

デジタルネイティブの時代 なぜメールをせずに「つぶやく」のか (平凡社新書)』を読んだよ。お硬い論文調。

副題は“なぜメールをせずに「つぶやく」のか”。本書の主題は、この副題の方がピッタリかも。この副題、最初は特に意識していた訳ではないけど、読み終わってみると、その意味がよ〜く理解できる感じ。
本のタイトルは単なるキャッチコピー。だって、デジタルネイティブって、もう使い古された単語のような気がするし、アッシだって、自分はデジタルネイティブなんじゃないかと思うくらいだから。

そんなわけで、本書はIT系の本ではなくて、IT技術を使いこなす人々を題材にした社会学。筆者曰く、「コミュニケーション生態系」だとか。
では、筆者の定義するデジタルネイティブとは、どのような世代か。それは1980年前後生まれ以降を指すということ。当然、アッシは含まれず、アッシの子供程度の年代から下の世代。筆者はそれをさらに4世代に分割し、それぞれに対して、各種の調査手法を駆使し、データを収集し分析する。

分析にあたり、次の4つの特性を上げているよ。
1.空気を読む圧力
2.「親密さ」と「テンションの共有」が互いに独立し、「テンションの共有」のみによる「親しさ」への志向。
3.「コミュニティ」「ソーシャル」とは異なる「コネクション」という社会原理の拡大
4.強い「不確実性回避傾向」
これらの枠組みの中で、さきの4つの世代がどういう傾向で行動するのか。
ここで登場するのが、メールをせずにつぶやくのか…という副題。音声通話という同期型コミュニケーションに内在する「空気の読みにくさ」がそれを端的に表しているという。

音声通話は、自分がコンタクトしようとするときの相手の状況は分からない、つまり、空気を読むのが難しいメディアである。
と。これは実は非同期コミュニケーションであるメールにも当てはまってきているのが、デジタルネイティブ。特に1991年生まれ以降の第4世代はその傾向が強いという。メールは非同期であるがゆえに、返信の強制力もそれほど強くはないはずだけど、彼らはそれでも音声通話と同様に空気を読む圧力を感じている。だからこそ、「つぶやく」のだと。なんだか、日本人的であり、優しすぎるような。あっ、これって、他人に優しいっていうより、自分が傷つきたくないという優しさなのかも。
他の3つの特性についても、結局は空気を読む圧力に支配され、従属する要因のように思う。統計的にも他国との差がここにハッキリ現れるから。
空気に支配される日本人の姿が、デジタルネイティブというキーワードからも登場するとは思いませんでした〜。
デジタルネイティブの時代 なぜメールをせずに「つぶやく」のか (平凡社新書)
デジタルネイティブの時代 なぜメールをせずに「つぶやく」のか (平凡社新書)木村 忠正

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