タマゾン川/山崎充哲

タマゾン川 多摩川でいのちを考える』を読んだよ。多摩川がキレイになった原因って…。

タマゾン川なんていう川は実際にはないけれど、これは筆者の創作した多摩川の別名。都会の真ん中を流れている川に、アマゾン川に棲むような熱帯系の魚が泳いでいるのを発見して、思わず「これじゃ、タマ川じゃなくて、タマゾン川ですよ」と言ったことから、この単語が広まったとか。

筆者の山崎充哲氏は自然環境調査コンサルタント。神奈川県川崎市で生まれ、子供の頃から多摩川に親しんできたという。それだけに、多摩川の今昔に詳しく、本書を読むとその変遷に驚くよ。

話のテーマとしては大きく二つ。その一つが「おさかなポスト」。
多摩川にいるはずのない魚が増えたことの原因がペットとして飼っていた生き物の投棄。魚だけでなく、亀までも。そこで、思いついたのが「おさかなポスト」。年間に1万匹もの捨て魚があるという。
当然、ポストに入れられた生き物は殺すわけにはいかないから、飼うことになる。それも直ぐに限界。里親に出したり、水族館行きになったり。ポストの維持費もバカにならないよね。

もう一つのテーマは、多摩川がキレイになったこと。本書に書いてあるように、アッシの子供の頃は多摩川は公害の代名詞のような存在だったかも。それが今は、アユが100万匹も遡上してくるほどの清流になっているよ。でも、どうしてキレイになったのか。それは、下水処理場のおかげ。さらには、その下水処理水にはプランクトンの餌になる有機物を豊富に含むわけで、これがまた生き物にいのちの水となっているよ。逆の効果としては、下水処理水が水温を上げることで、熱帯魚などの外来種にも棲みやすい環境になっているのだとか…。

秩父笠取山直下の水干からの一滴から、これほどまでに下流に生きる生物に影響を与えることドラマが生まれるなんて…。川って無関心になりがちだけど、もっと関心を持っていかなければならないね。

タマゾン川 多摩川でいのちを考える
タマゾン川   多摩川でいのちを考える山崎充哲

旬報社 2012-06-25
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