ジャンケン入門/清水義範

ジャンケン入門 (角川文庫)』を読んだよ。ホッとする笑いがここに。

久しぶりの清水センセー。センセーは寡作なので、どれを読むかを選ぶのが大変だし、文庫だと図書館に所蔵されていないものも多く、結局読むのを諦めたりする状態が続く。
でも、本書はふと入った古書市で見つけ、確か図書館に無かったものと判断し即ゲット。そう言えば、角川文庫の作品は図書館には少ないかも。

本書は、清水センセーが得意のパスティーシュではなく、短編小説集。本書のタイトルの『ジャンケン入門』は収録されている一作品。
以下、アッシの気に入った幾つかの作品を紹介。

まずは前述の「ジャンケン入門」。
ジャンケンの定義から始まって、その運用方法及び応用編としての必勝法まで。まるで、電機製品の取説を読む感覚でジャンケンを説明しているよ。取説を読むのが趣味のアッシとしては、凄く明解で嬉しい感じ。

もうひとつは、「こわい話」。
こわい話のあれこれだけど、何といってもこわいのはおかしな人間という清水センセーの感覚に同意。幽霊とか怨霊よりは、知らない他人ほどこわいものはない。逆に言うと、幽霊の方が、その正体をよっぽど知っているからね。

最後は「筑波の恋」。まさに、理系のための恋愛論
そのストーリーは有りがちな話だけど、その中で展開される熱力学の理論の説明がなんと分かりやすいことか。本作品はの上梓が1991年だから、清水センセーのお勉強シリーズ本が始まる前。あのお勉強シリーズは理科編も凄く分かりやすかったけど、この「筑波の恋」はその萌芽的な作品かもね。

清水センセーはあとがきでも書いているけれども、センセーの趣味の「人間観察」がそれぞれの作品に活きている感じ。「人間がこわい」という感覚も分かるけど、逆に、こわいからこそ「観察」してしまう。センセーやアッシだけでなく、そういう感覚が人間にあるからこそ、センセーの作品が読まれているんだろうね。

ジャンケン入門 (角川文庫)
ジャンケン入門 (角川文庫)清水 義範

角川書店 1994-03
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