大阪維新/上山信一

大阪維新 角川SSC新書 橋下改革が日本を変える (角川SSC新書)』を読んだよ。東京人は大阪を知らな過ぎる…。

「橋下改革が日本を変える」というサブタイトルに釣られて、本書を読んだ訳だけど、橋下知事の話は少なく、大阪改革の背景となる日本全体の話と、大阪府大阪市の関係の話が中心。それらの現状からの結論も書かれているけれども、なんとも呆気ない感じ。どんな結論かは最後に。

筆者は上山信一氏。大阪市生まれで、官僚となり、その後はコンサルタント会社を経て、現在は慶應義塾大学教授。自称「改革屋」だとか。

さて、本書の前半は、日本の現状を概観する。特に政治については、いまだに高度成長期と同じ政策しか打てず、この20年を振り返り、まったく定見がない政府を批判。

ひらたく言うと、(1)「成長、規制緩和、小さな政府」、(2)「目先の公共事業、財政出動景気対策」、(3)「格差是正大きな政府」の3つのメニューの間を右往左往するだけでした。そこに時々、財政再建増税の話が顔を出す。要は何でもアリです。
という見解。このように整理されると、ピンと来るよね。政権が変わっても、やっていることが変わらないって、そういうことだったんだと納得できるよね。そして、このような状態の政府を、「オンボロバス」と表現し、これに変わる新たな乗り物(仕組み)を作る必要があると提言しているよ。

そして、大阪自身の問題。
ひとつは、大阪市の無駄の多さと高コスト体質。この話は以前からマスコミでもたびたび取り上げられているよね。ニュースに出る度に、その担当部局が違う訳だから、これはもう大阪市役所そのもの体質の問題なんだろうね。
もうひとつは、大阪府との事業の重複。大阪市は市内最適化しか図らない訳で、大阪府の意向ともそぐわず、全体最適化には程遠い。大阪府もそれを改革しようとしてきた訳でもなく、結局、大阪の衰退を招くわけ。そこで登場するのが、筆者の知り合いの大阪市助役の大平氏とその後の橋下知事。筆者はその両者の元で改革に尽力を尽くす。

さて、本書の結論は大阪都構想になっているけれども、それは日本の改革である道州制への第一歩ということ。アメリカのシステム近いことは筆者も認めている。
日本国民全員がオンボロバスに乗り続けて、同じ目的地に全員で行くのではなく、ハブとなる地点からは、地域ごとに小型バスに乗り換えて目的地に無事にたどり着くという発想。極々、当たり前の手法だよね。それが出来ないから、こんな日本になっているんだろうけど。

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