からだを読む/養老孟司

からだを読む (ちくま新書)』を読んだよ。人間の体は進化の結果。

養老先生の本は久しぶり。しかも、普通のエッセイではなく、先生の専門の解剖学風の読み物。いつものように、分からない部分は分からないとハッキリと述べているから、読んでいる方も小気味よい。いつもの養老節だけど。

さて、本書。口から始まって肛門まで、いわゆる消化管の全てを養老先生風に解説したもの。
まず驚くのが、人間の各部位が細かく名前が付けられているということ。そして、その定義も明確。例えば、上唇。上唇というと口の周りの上の赤い部分と思いがちだけど、解剖学的用語だと、鼻の下からその脇までを含んで上唇という。その理由を「構造単位」だからと養老先生。なるほど、そう来たか〜。素人は表面的な違いでしか判断できないからね。

さらに、「ヒトの体はうまくできている」という見方に一石を投じる。それは機能的な説明をするからであると。機能とは欠陥を取り上げるものではないわけだし。

簡単にヒトの体はうまくできている、などと言ってもらっては困る。という気もよくするのである。よくできているなら、なぜガンができるのか。ガンは自分の体から発するものではないか。ヒトの体がうまくできているばかりなら、医者は要らない。
そっかぁ、逆説的だけど、医者って何で要るんだろうとも思えてきた〜。

前述で部位の話が出たけれども、これはまさに言語化の話。養老先生の本には、この言語化の話がよく出て来るけれども、解剖学はまさに言語化の典型。

歴史上、人体の内部はおそらく、もっとも言語化が遅れた領域だったのである。その領域までも、なんとか言語化しようとしたのが、じつは解剖学である。
そう、何かがあると分かっていても、誰も見ることが出来なければ言語化出来ないからね。

最後にアッシ的には衝撃的な事実。
結石の痛みは、石の痛みではなく筋肉の収縮による痛みであると。そして、それは原理的には陣痛の痛みと同じであると。そっかぁ〜、陣痛ってあんなに痛いんだぁ〜。陣痛の痛みを知っている男子は貴重です〜。

からだを読む (ちくま新書)
からだを読む (ちくま新書)養老 孟司

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