ニュースの読み方使い方/池上彰

『ニュースの読み方使い方』を読んだよ。メディアの世界もさまざま。

最近気になる池上彰氏。直近で読んだ『「見えざる手」が経済を動かす』でもそうだったけれども、その分かりやすい説明は天下一品。本書にも書いてあるけど、NHKの「週刊こどもニュース」も分かりやすさ故に大人の視聴者も多かったとか…。

さて、本書。
記者出身の著者だから、記者時代の体験をベースにメディアへの向き合い方をテーマに書かれたもの。メディアの裏話風も多数有り、楽しめるよ。

例えば、TVのニュース番組。
NHKと民放の伝え方に違いがあるのはよく分かるけど、放送時間によっても、伝える立ち位置が違うと。そう、夜の遅い時間は地方の農家や漁業の人たちはもう寝ている時間。自然に視聴者は大都市部のサラリーマン。だから、伝える視点がそちら寄りになる。農業問題だったら消費者の立場の見方、高速道路問題だったら無駄な公共事業という視点でということになる。ニュースもいろいろな視点があって、逆に見る方もそういうものだと思って見ると、また面白いかもね。

情報収集の方法については、「問題意識」を持つことだと筆者。問題意識を常に持つ態度でいると、そのテーマの情報が向こうから飛び込んでくるという。

あるいは、書店めぐりをしていると、関連した書名の本が、書棚で「おいでおいで」をしています。不思議ですね。
うむ、これはまさにセレンディピティではないか?別の場所でも書かれているけれども、お風呂に入っている途中でアイデアが思い浮かぶとかいったことも同じかも。アッシの場合、頭を洗っているときに、よく思いつくことがあるけど。

ニュースで使われる用語の話も面白い。
例えば、国際連合。英語だと「United Nations」。直訳すれば「連合国」。そう、旧敵国なわけ。第二次世界大戦の連合国が、二度と戦争が起きないようにしようとつくった国際的な枠組み。だから、日本が「United Nations」に加盟するときに、「連合国」に加盟するというイメージを避けるために、意図的な訳をしたのだと。他にも、PKO(平和維持活動)や日米構造協議なども。アメリカから要求された「規制緩和」も英文を直訳すれば、「規制撤廃」だとか。
あ〜、オブラートに包む表現が、なんとも日本人的。

ニュースの見方、新聞の読み方、Internetの使い方など、プロの記者から見れば、やっぱりそれぞれに違いがあり、使い分ける。そう、一般人だとのんべんだらりと流してしまいがちだけど、ちょっと見方を変えると面白い発見があるかも。これからのメディアへの接触の仕方をちょっと変えてみようかなぁ〜。

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