きらわれものの草の話

『きらわれものの草の話』を読んだよ。雑草と人間の戦い風だけど…。

サブタイトルは文字通り「雑草と人間」。なんだか雑草って悲しい。「雑草という名の植物はない。」とどこかの国の国民の象徴たる方がおっしゃったというけれども、まさにその通りで、人間の都合で雑草になってしまっただけの話。たまたま、生育条件がピタリと当てはまった環境に生えてしまっただけで、雑草よばわり。何て悲しいことなんでしょ。

さて、本書。雑草の定義から始まって、幾つかの雑草を紹介。そこでは、オオバコが踏まれることで生き延びているのだとか、「ツクシ誰の子、スギナの子」とうたわれているけれども、実は地下茎で繋がっているだけなので兄弟なのだとか、面白い薀蓄が披露されているよ。

その後に、作物植物との違いとか、雑草がどのような被害を及ぼすかとか、かなり細かい解説が展開される。ところが逆に役立つ雑草もあるとかいう話も。

で、続いて雑草を除去する話。冒頭で筆者がこんな話をするよ。

お墓の草取りは、生えているのをかたっぱしから全部取ればよいのですからたいへん“らく”です。しかし、ほんとうの雑草防除は、作物という、雑草と同類の植物が“同居”している場所で“雑草だけ”を選びながら取るのですから、大変なのです。
この言葉は、まさに雑草防除の肝だよね。この後に、まさにその極意が解説されるわけ。

そして、除草剤による防除方法はお見事としかいいようがない。それも、バイオテクノロジーを使ったものなど、まさに科学の粋を集中された手法なわけ。除草剤と聞くと、どうも毒という印象があるけれども、近年のそれはまったく問題ないものがほとんどだということも理解できるよ。だって、バイオの力によるものなんだから。

最後の方は、前回に読んだ『生命科学の冒険』のような、クローンとか遺伝子とかの応用話が登場し、いやぁ〜、農業って奥が深いというか、教養なんだなぁ〜と感じさせられた一冊でした〜。

きらわれものの草の話―雑草と人間 (岩波ジュニア新書 (321))
きらわれものの草の話―雑草と人間 (岩波ジュニア新書 (321))松中 昭一

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