無限論の教室

『無限論の教室』を読んだよ。無限とはなんとも取り扱い難いもの…。

大学の講義風に書かれているよ。どうやら、科目的には「哲学」みたい。教員は、タジマ先生。学生は、タカムラさんという女性と「ぼく」。そんなシチュエーション。

まずは「アキレスと亀」の話から。ゼノンのパラドックスだけど、要は収束と発散を考える。そこから、実無限と可能無限の考え方。タジマ先生は可能無限派だとか。

そして、「自然数と偶数はどちらが多くあると思いますか」というタジマ先生からの問いかけ。ここで集合の濃度という考え方を学ぶ。←これって、哲学じゃなくて完全な数学だよね。
この後、カントールの無限集合論について学ぶんだけど、その前に実数論。べき集合とか、自然数との濃度の差とか、学生のときに習ったような忘れたようなことがたくさん登場。

2の平方根の無限可能性についての話が面白いので、引用。

ルート2というのは、ひとつの完結した数につけられた名前ではなく、この開平法というやり方につけられた名前なのです。一般に、無理数と言うのは、こうしていつまででも少数展開を続けていく規則の名前なのです。
そう、ここでは、無限とは有限のものと同じ手法で論じるものではないということを匂わせているのだろうね。

パイについても同じ。

パイというのはその少数展開を順番に作り出していく規則であり、展開されていく少数は、その規則に従って構成されて初めて産声をあげる存在者なのです。
これは、無限は虚構であり、実在しないという結論に繋がるわけ。

講義の最後は、ゲーデル不完全性定理を証明するんだけど、ここまで来ると分かったような分からないような。メタ数学とか対角線論法とか、新たな概念と手法で、「ぼく」もアッシもアップアップ。

最後のタジマ先生の言葉が象徴的。

無限は完成を拒んでいます。
と。人間はつい完成したものを求めてしまうのになぁ〜。だから、無限は超越的なんだろうね。
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