「読み」の整理学/外山滋比古
『「読み」の整理学 (ちくま文庫)』を読んだよ。まだまだ真の本読みには成り切れないなぁ〜。
外山滋比古氏の著。講談社現代新書『読書の方法』を加筆・修正したもの。それが1981年刊行だけど、内容的にはまったく古さを感じさせず。
さて、本書。読んで分かるということはどういうことかを分析・考察しているよ。
まずは、読んで分かったとは既に知っていることが文字になっている場合であると。例えば、プロ野球の結果を新聞で読む。プロ野球についての予備知識、野球そのものを知らなければ、全く理解できないと思われる。つまりは、知っていることしか分からないのだと。筆者はこの読み方を、アルファー読みと命名する。
それでは、もうひとつ別の読み方(ベーター読み)とは何か。そう、未知のものを読む場合。ベーター読みの代表として、新聞の社説や教科書を上げているよ。これらは一般的に言って、つまらない読み物の代表選手だよね。社説などは、日本語としては平易なんだけど、内容的には未知のものを読むから。
で、勿論、筆者はベーター読みを推奨するんだけれども、安易なアルファー読みからの移行は中々難しい。古典を読むとか、翻訳ものを読むとかテクニカルな手法はあるけれども、どれも中途半端な感じ。
エピローグが面白いよ。「モモタロウ」の話をベーター読みする事例。アルファー読みだと単にストーリーを追うだけで終りだけど、ベーター読みだと、「なぜ桃から生まれたのか」とか「川を流れて来たのか」とか、新たな視点での読みが展開する。まさに創作そのものと言っていいかも。
アッシは「精神の緊張を伴う読書」に喜びを感じる方なんだけど、それでもまだまだベーター読みには届かない感じ。本書を参考に修行を積まないとなぁ〜。
「読み」の整理学 (ちくま文庫) | |
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