火花/又吉直樹
『火花』を読んだよ。これが純文学か…。
ご存知、又吉直樹氏の芥川賞受賞作。なぜか映画を先に見てしまったので、ストーリーは頭に入っていたけど、小説としてもそれなりに面白く読めたかも。映画と原作とは違ってしまうことも多いけど、映画版は原作にほぼほぼ忠実ということも分かったし。いや、大作というわけではないので、忠実に作ることができたと言ったほうが正しいかな…。
とことん漫才師であろうとする神谷とその生き方に共感しつつも自分の生き方を探ろうとする僕(徳永)の話。神谷の生き方は一言で言ってしまうと破天荒。でも、それは漫才師であろうとするゆえ。世間や周りがそれについていけないだけとも言えるんだけど。
その神谷のとことんぶりを彼のセリフから紹介。
「だから、お前の行動の全ては既に漫才の一部やねん。漫才は面白いことを想像できる人のものではなく、偽りのない純正の人間の姿を晒すもんやねん。」とか、
「本当の漫才師というのは、極端な話、野菜を売ってても漫才師やねん」とか。
それに対する僕(徳永)の反応は、
こんな時、神谷さんの唱える、「気づいているか、いないかだけで、人間はみんな漫才師である」という理論は狂っていると理解しながらも妙に僕を落ち着かせてくれるのだった。という、否定しながらも別の観点で肯定するといったところ。
徹底的に生きるって憧れるけど、その難しさとの葛藤が人生なのかもしれないね。