となりのクレーマー

『となりのクレーマー』を読んだよ。単なる苦情なら、素直に対応できるんだけど…。

某S百貨店のお客様相談室長だった筆者がその経験をまとめたもの。百貨店という性質上、いろいろな種類の苦情が上がってくるのは事実。店側の明らかな過失ならば、誠意を持って対応するのが当然だと思うけど、本書に登場する苦情の数々は、言いがかり、脅し、客側の勘違いなどが多数。それでも、明らかな証拠が無ければ、客側が有利であって、そこをつけ込む御仁も。

本書の事例を読んで思うに、変に中途半端な知識がある客に限って、クレームを入れる傾向にあるのではないだろうか。ただ、店側も十分な商品知識で納得させるだけの能力が必要になるんだろうけど。

で、筆者が言うクレーム対応の極意は、一にも二にも「お客様の立場で考える」。最初は誰もが、店側の利益を考えてしまうものだと。次第に中立の立場に立てるようになり、最後は顧客側の立場になれるという。そうなると、苦情の八割は電話だけで解決できるようになったという。要は気持ちの持ちようってことか…?そう簡単に済む話ではないとは思うけど。

学校に対する事例も紹介しているよ。ただ、学校の場合は、一般企業のように「クレームを情報資源にしよう」などと考えられるものではないよね。そこが逆に困り者で、対応に苦慮する要因なのかもしれないね。

さて、クレーマーを生み出す要因は何か?筆者は格差意識がその要因になっているという考え方に一理あるという。嫉妬を背景として苦情申し立てっていうことのようだけど。これはちょっと違うような気がする。むしろ、権利意識の拡大がその要因ではないかなぁ〜と思っている。どこまでが顧客の権利で、どこまでが店側の義務なのか曖昧な世の中だからね。

最後に。筆者のまとめは、苦情を言われても必ずリターンしてくれることを考えるということ。うん、これは非常に納得。学校でも応用出来そうだしね。

となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術 (中公新書ラクレ 244)
となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術 (中公新書ラクレ 244)関根 眞一

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