日本の山を殺すな!/石川徹也

日本の山を殺すな!―破壊されゆく山岳環境 (宝島社新書)』を読んだよ。その後を知りたい。

題名に惹かれて手に取った本書。読んでみて気がついたことは、情報が古かったということ。副題にある通り、「破壊されゆく山岳環境」について、日本各地の状況を詳細にルポしたものだが、その時期が、1997年から1999年にかけて。つまり、20年以上も前。環境省も当時は環境庁だったし、20年も経てば法律も変わっていたりするだろうし。

とは言え、当日の状況を知ることが今の有り様を理解することに繋がるので、本書を今読むことに意義がないわけではない。そして、20年前はそういう状況で、今はどうなのかをみることは、日本の山が殺されているのか生かされているのか、判断する材料になるよね。

本書に登場する事例は、山小屋のトイレ問題、高山植物の盗掘、山岳道路の建設、オーバーユース、砂防ダムの影響etc。その他に、世界自然遺産に登録された白神山地屋久島での現状は注目に値するよ。
例えば、世界遺産の意義について。

世界遺産とは、なんだったのか、と問われれば、こう答えるしかなさそうである―。開発頓挫で白神山地の主導権を失った林野庁や、自然保護運動にほとんど力にならなかった環境庁が、白神山地の自然保護行政の主導権を握るための“道具”であった―と。
と筆者。穿った見方なのかもしれないけど、日本の行政のあり方を考えるとそれもあり得るかな…と。誰がどこで何を考えているのかということがよく分からないうちに決まってしまうってことがよくあるし。
あと、自分的には、林野庁って何をやっているんだろ…って、今回初めて気付かされた感じ。林野庁環境省の関係とかも。

もう一つ。

この国を代表する山岳資源が世界自然遺産に登録されてから五年が経った。しかし現在、白神山地屋久島も「世界に誇れる」と胸を張れるだろうか。このままでは世界遺産地域さえ守ればいいといった、大雑把かつ視野の矮小な自然保護行政だけが、大手を振って歩き始めるだろう。
と。そう、世界遺産というコトバに注目され独り歩きし、その中身はどうなっているのか。それを語る人がどれだけ理解しているのか。本書の事例のその後が気になるところではある。
日本の山を殺すな!―破壊されゆく山岳環境 (宝島社新書)
日本の山を殺すな!―破壊されゆく山岳環境 (宝島社新書)石川 徹也

宝島社 1999-12
売り上げランキング : 1730701


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

応援クリックはこちら→にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ