生物多様性を考える/池田清彦

生物多様性を考える (中公選書)』を読んだよ。考えようがない…ってことか。

池田先生の生物多様性といえば、環境問題に絡めて、本当のところはどうなのか?という点で興味深い話題を提供してくれるので、毎回の読書が楽しみ。但し、今回は中公選書からの1冊ということで、多少の学術的要素が加わるのかとちょっと警戒心を強めながら、読書開始。

冒頭の第1章は「生物多様性とは何か」を語っているんだけれども、ここは確かにちょっと小難しい話。学術的で科学的な議論なんだけど、そもそも「生物多様性」って科学的な議論なのか…という点で筆者は疑問を呈す。そう、厳密な定義といったものは存在せず、

エーレンフェルドの言うように、生物多様性というコトバは「母なる大自然」と同じような観念的な標語なのだ。
ということになる。しかも、ネオダーウィニズム的な考え方にも異論を唱える筆者。
端的に言って連続的に変化していった果てに別種になるというネオダーウィニズムの考えは間違っていると私は思う。異所的に種分岐をするにしても、どこかで別種に変わる変換点があるのだ。すなわち、種は不連続的に進化するのだ。
と言う。そっか、池田先生ってなんとなく、反ダーウィニズムだと感じていたんだけど、根拠はこれだったんだね。

そして、第2章からは保全の問題。生物多様性と言えば、保全の話が必ずついてくる。結論は想定できたんだけれども、

人は自分の頭の中で理想的な自然を想い描きがちだが、ある種にとっての好適な環境は、別の種にとっては不敵な環境になり得るわけで、すべての種にとっての理想的な環境などというものはないのだ。<中略>人間が生きる以上、環境を改変せざるを得ない場合もあるわけで、メリットとデメリットを勘案しながらダマシダマシやるほかはない。
ということになる。人間が思うとおりにしようなんてことがおこがましいことなんだものね。

そう、池田先生の言うことはもっとも過ぎて、スッキリするよなぁ〜。

生物多様性を考える (中公選書)
生物多様性を考える (中公選書)池田 清彦

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