これからの日本、これからの教育/前川喜平,寺脇研

これからの日本、これからの教育 (ちくま新書)』を読んだよ。その「これから」が分からない。

二人の元文部科学省官僚の対談をまとめたもの。特に、話題の前川喜平氏の登場とあれば、興味津々で読んでみたってわけ。でも、結局は、前川氏の言葉としては、冒頭と最後にまとめた文章だけ。それも、なんだかスッキリしたものではなかったような…。本書の大半を占める二人の官僚の対談は、ほとんどが寺脇研氏が話をし、前川氏が相槌程度にコメントや補足情報を付け加えるだけといった感じだし。

では、その少ない前川氏からの情報で、その精神に通底するものを見ていくと、初代文部大臣の森有礼の言葉「自警」に辿り着く。前川氏曰く、

私なりに「自警」を要約すると、教育と学問にかんする行政をつかさどる文部省の責任は大変重いもので、その職務をになう人間は、十二分にその自覚をし、他の省庁と比較したりせず、その職に死んでもいいくらいの気持ちで、つねに自らを向上させ、職務に励まなければならない、ということが言われています。
と。この「自警」を幾つか引用して、退官前に文科省職員全員宛にメールで送ったのはその当時に話題になったよね。加計学園問題での一連の発言は、この精神から発せられているような…。

そして、日本の教育改革。二人の主張は「学校教育だけが教育ではない」ということ。例えば、

寺脇さんの言われるように、大事なのは、学習者の学ぶ場を保証することです。一人ひとりの、多様なあり方に即した、多様な学びの場を用意すること。
と前川氏。うん、これは間違ってはいないはず。逆にこの主張は旧来の文科省の考え方とか、他の省庁(財務省とか内閣府とか)とぶつかるんだろうね。

最後に、気になる前川氏の主張。

数学に関していえば、高校の必修科目から外したほうがいいと、ずっと思っています。
と。ドロップアウトの原因だからと言っているけれども、これはちょっといただけない。ちょっと拙速すぎやしないか?まぁ、反対は多数だろうから、実現はしないだろうけど。いや、実現したら日本は終わりだ…。
これからの日本、これからの教育 (ちくま新書)
これからの日本、これからの教育 (ちくま新書)前川 喜平 寺脇 研

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