アジア辺境論/内田樹,姜尚中
『アジア辺境論 これが日本の生きる道 (集英社新書)』を読んだよ。現実的なんだろうか…。
内田先生の『日本辺境論』を読んで、自分的には目から鱗。そう、辺境だから故に、世界から見たらヘンな日本なんだいう認識が持てたっていうわけ。それ以来、内田先生の辺境論に傾倒しているわけで、本書が出た時は勿論必読を決意ってこと。
で、今回は内田先生と姜尚中氏がユーラシア大陸の辺境地域について、語るというもの。その主旨は、東アジア地区を辺境であると定義し、日本、韓国、台湾(場合によっては香港まで)での連帯を!ということ。その是非は本書を読んで、考えてもらうとして、自分としては、内田先生の目から鱗的な論考を本書の中から読み取りたいな…というイメージ。
まずは、はじめにから。
日本が「アメリカの属国であって、主権国家ではない」限り、日本が自前の世界戦略を語る日は来ないだろうと僕は思います。と内田先生。つまりは、日本は未来を語るビジョンを提示てきていないということ。だからこそ、本書でそれを語るのだとも。
そして、反知性主義という用語から。複雑な話から単純な話に還元しようとする誘惑を反知性主義と定義する。そう、本当は「そんな簡単な話じゃない」ことは分かっているのに、「簡単な話」にして、知的負担を軽減する。そう、今の社会はそういう傾向が強いよね。政治の論点にしてもそう。だから、
反知性主義は感染力が強い。あくびがうつるように、ため息がうつるように、「もう難しいことを考えるのに疲れたよ」という愁訴はあっという間に広がってしまう。この徒労感からどうやって民主制を守るのか、それが喫緊の課題だと僕は考えています。言い換えるなら、「難しいことを考えることを厭わない」という意欲をどうやって保持するか、もっと踏み込んでいえば、「難しいことを考えることをむしろ好む」ような傾向をどうやって創り出すか。それが民主制を守るための思想的な急務ではないか。僕はそんなふうに考えています。と内田先生。いや、まさにおっしゃる通り。論点が単純なのは分かりやすいけど、そうそう物事の本質は単純ではないからね。考えることを厭うことを放棄したくはないよね。
それを思うと今度の選挙。なんだかそれでいいのかなぁ〜という違和感だけが残るんだけど。
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